内容説明
十字軍遠征などの功績によって列聖された、慈悲深いカトリック王―ルイ九世は、十三世紀フランスの平和を追求した。本書は、敬虔な信仰に基づくその生涯をたどりながら、彼が断行した諸改革や当時の政治・経済・文化について紹介してゆく。中世の理想的君主の実像がわかる、西洋史の基礎知識。
目次
第1章 相続(一二二五年前後におけるフランス王国とその住民)(変化に富んだ国土;発展の成果;十三世紀初頭の権力と社会;結論)
第2章 聖王ルイの治世(名君への成熟;国王の新政策)
第3章 落日の威光(十三世紀中頃のフランスの威光;王政への抵抗勢力;繁栄の限界へ)
著者等紹介
福本直之[フクモトナオユキ]
1939年生。京都大学大学院文学研究科博士課程修了。パリ大学文学博士。フランス中世文学、語学専攻。日本文体論学会常任理事。国際動物叙事詩学会名誉会長
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感想・レビュー
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あなほりふくろう
16
塩野十字軍で「なんなんだコイツ」扱い、佐藤カペー朝では「図抜けて優しい」と評された聖王ルイ9世。成長期にあった13世紀フランスの社会経済状況のなかで、優れた人材発掘家であり司法・行政・財務の中央集権化に取り組んだ彼の業績は確かに近代国家の基礎を築くものであった。この本では彼は確かに、公正で慈悲深い名君であった。2013/10/03
ちまりん
3
以前読んだ『カペー朝』から、ルイ9世に興味を抱き、読み始めた。公正で、謙虚で、慈悲深く、厳格であったルイ9世。王者としての自覚と責任は今日の私たちも模範とすべき。正に名君。非常にわかりやすく書かれていて面白かった。2012/12/06
空飛び猫
1
聖王、と呼ばれる所以。 聖王と、忘れられた暗部。 歴史と伝承の作られ方。2013/11/22
リッチー。
1
キリスト教の聖人にして13世紀フランス国王、ルイ9世の業績とその時代背景の解説本。丁寧に記述されているのでだいたい読みやすい。セントルイスの語源となったこの国王、官僚機構・法律、税制の構築、反抗的貴族の屈服、欧州各国間の紛争の公正な調停、などなど実に真面目で優秀な執政者で感服。二度の十字軍はむしろ珍しい失敗例なのに、日本の高校世界史では(個人的な印象だけど)一番取り上げられてしまうのには同情。王権の拡充の中で中小地主である騎士階級の没落、農業生産性の頭打ちなど、次の時代の問題の芽が出始めているところには個2012/03/17
にやり2世
0
余分な言葉も表現もなくて読みやすかったー。国民の側からみた同時期についての本も出してくれないかなぁ。2016/02/27