エクス・リブリス・クラシックス
イーヴリン・ウォー傑作短篇集

  • ただいまウェブストアではご注文を受け付けておりません。
  • サイズ B6判/ページ数 264p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784560099094
  • NDC分類 933
  • Cコード C0097

出版社内容情報

黒い笑い、皮肉、風刺、狂気、不倫など、作家の真髄が光る15作品を独自に厳選。本邦初訳4篇ほかすべて新訳。自筆の挿絵6点掲載。没後50年記念出版!
 「良家の人々」
 ひどく不名誉な状況でオックスフォード大学を退学になったヴォーンに、ある仕事が舞い込む。それは、さる公爵の孫息子の大陸遊学に、チューターとして1年ほど同行するというものだった。どうせぶらぶらしているし、悪い話ではない。そう思い引き受けたヴォーンだったが……。
 「勝った者がみな貰う」
 貴族のケント=カンバランド家の当主が第一次世界大戦で戦死、未亡人が家を取り仕切っている。長男はオックスフォード大学に進学させるが、節約のため、次男は無名のパブリックスクールに進学させる。やがて次男はオーストラリアに追いやられ、そこで大富豪の牧場主の娘と恋仲になる。未亡人は長男とその娘を結婚させようと画策するが……。
 20世紀のイギリス文学を代表する小説家の一人であるウォーは、短篇も数多く書いている。そこに描かれた人間の悲哀や滑稽さは、自らの苦い経験から生まれている。本書には、巨匠ウォーの辛辣な諷刺とユーモア、ブラックな笑いが冴えわたる作品を15篇厳選して収めた。初訳4篇ほかすべて新訳、自筆の挿絵6点掲載。

イーヴリン・ウォー[ウォー]
1903-1966年。ロンドン郊外のハムステッドに生まれる。オックスフォード大学では放蕩生活を送りながら学内文芸誌に関わる。大学中退後、画家を志すも断念。パブリック・スクール進学予備校の教師となる。22歳の時、自殺未遂。1928年、教師時代の体験を基にした『衰亡記』を発表。『卑しい肉体』(1930)では第一次大戦後の「陽気な若者たち」を取り上げ注目される。同年、カトリックに改宗。『黒いいたずら』(32)、『一握の塵』(34)、『スクープ』(38)など、辛辣な諷刺とユーモアに溢れた作品で人気を博す。作風を一変、貴族の生活を描いた『ブライズヘッド再訪』(45)はアメリカでベストセラーになる。戦後の代表作に第二次大戦を描いた『戦士』『士官と紳士』『無条件降伏』の『名誉の剣』三部作(52-61。合本改訂版、65)がある。

高儀 進[タカギ ススム]

内容説明

巨匠の神髄が光る15篇を独自の厳選。初訳4篇ほかすべて新訳。自筆の挿絵6点掲載。

著者等紹介

ウォー,イーヴリン[ウォー,イーヴリン] [Waugh,Evelyn]
1903‐1966。ロンドン郊外のハムステッドに生まれる。オックスフォード大学では放蕩生活を送りながら学内文芸誌に関わる。大学中退後、画家を志すも断念。パブリック・スクール進学予備校の教師となる。22歳の時、自殺未遂。1928年、教師時代の体験を基にした『衰亡記』を発表。『卑しい肉体』(1930)では第一次大戦後の「陽気な若者たち」を取り上げ注目される。同年、カトリックに改宗

高儀進[タカギススム]
1935年生まれ。早稲田大学大学院修士課程修了。翻訳家。日本文藝家協会会員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ケイ

148
サキが毒にまみれた短編を書くのだとすれば、ウォーのはシニックさの殿堂入り。短編ではそれが際立つ。そのシニカルさは、苦さよりもそれを越えてむしろ爽快さをもたらす。「あらまあ、なんてこと!もう、たまんないわ!」ってクセになる。イヤなことが並べてあるのに、自分自身にイヤなことが続くと手に取ってパラパラと何編か再読したくなるようなshort stories. あんたのその不幸もこうやって苦笑して終わりにしちゃえば?って思えるの、これは。ウォーの手による挿絵入り。おすすめ。私には、買って手元に置くべきもの。2016/11/08

HANA

72
人生にはごくたまに黒い笑いと陥穽が顔を覗かせている時がある。これはそんな黒い笑いと一抹の悲しみを取り扱った短編集。ただ当時の英国の社会を背景にしているためか、その辺に暗い自分にとっては本当の意味で楽しめたかどうかは疑問。というわけで社会構造に密接に関連した作品より、そこから離れた作品の方が楽しめました。特に「ディケンズ好きの男」や「気の合う同乗者」等は最高。両者とも一歩間違うと完全なサイコホラーなのにそこまでいかず、モンティ・パイソンの様なスラップスティックな笑いに留めているのが何とも言えませんでした。2016/10/21

九月猫

54
「ブライズヘッド」を読みたいなと思いながら時が経ち、こちらがイーヴリン・ウォー初読みになった。英国らしいと言い切れるほど英国に精通していないけれど、アイロニーに満ちた物語の数々は私の英国らしさのイメージそのもの。帯の“笑わずにいるのは不可能”に「え……?」と思いながら読んでいたのに、いつの間にか笑っていた。そして“悲劇的だと感じないのも不可能”。表裏一体の悲劇と喜劇、紙一重の正気と狂気。印象に強いのは、まさに喜劇か悲劇か「ベラ・フリース、パーティを開く」、長子相続制のなんたるか「勝った者がみな貰う」。2016/08/24

星落秋風五丈原

48
『勝った者がみな貰う』父親が長兄ばかり可愛がったウォーの体験が色濃く反映された短編。ただこれはどちらが勝ったと言えるのか。『ラヴデイ氏のちょっとした遠出』女性ファッション誌「ハーパーズ・バザー」に掲載予定になっていたが、あまりの不気味さに断られてしまったといういわくつきのオチ。『良家の人々』など「狂気と正気の狭間ってなんだろう?」と言うテーマが多く扱われている15篇厳選。初訳4篇ほかすべて新訳、自筆の挿絵6点掲載。 挿絵はヘタウマっぽい。 2016/08/15

くさてる

34
英国上流階級のひとびとの世界を描いた短編集。その背景からかなんとも皮肉で気取ってて底意地が悪く、後味もよろしくない。だが、そこがいい。という感じの内容でした。「良家の人々」「ベラ・フリース、パーティを開く」「ラウディ氏のちょっとした遠出」「戦術演習」「見張り」が好きです。2019/01/05

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/11040141
  • ご注意事項

最近チェックした商品