エクス・リブリス・クラシックス
カオス・シチリア物語―ピランデッロ短編集

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  • サイズ B6判/ページ数 285p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784560099049
  • NDC分類 973
  • Cコード C0097

出版社内容情報

タヴィアーニ兄弟の映画「カオス・シチリア物語」の原作を中心に、シチリアの風土と結びついた寓話性の高い作品を収録。

【著者紹介】
1867~1936年。イタリアの劇作家、小説家、詩人。1934年にノーベル文学賞を受賞。

内容説明

タヴィアーニ兄弟のオムニバス映画、『カオス・シチリア物語』をご覧になっている人はもう少ないかもしれない。日本で公開されたのは、一九八五年のことであり、鈴をつけられた「カラス」のシーンからはじまり、地中海の小さな島の白い砂浜での最後のシーンまでシチリア島ならではの美しい映像が印象的な映画である。この映画のもとをなす六つの短編の原作者、ピランデッロはイタリアを代表する劇作家・小説家であり、ノーベル文学賞を受賞している。本書は、二〇〇を超える彼の短編の中から、映画のもととなった六つの短編を中心に、シチリアの風土とむすびついた寓話性の高い作品を選んで、今日にも通じる世界的な文学者ピランデッロの世界を紹介しようとするものである。

著者等紹介

ピランデッロ,ルイジ[ピランデッロ,ルイジ][Pirandello,Luigi]
1867‐1936。イタリアを代表する劇作家であり小説家。とりわけ、『作者を探す六人の登場人物』などの戯曲によって現代演劇に及ぼした影響は大きい。1934年にノーベル文学賞を受賞している。また劇作家のみならず、すぐれた小説家でもあり、長編『生きていたパスカル』『一人は誰でもなく、また十万人』などが翻訳されている

白崎容子[シラサキヨウコ]
東京外国語大学修士課程修了。慶應義塾大学文学部教授(イタリア語・イタリア文学)

尾河直哉[オガワナオヤ]
早稲田大学フランス文学専攻博士課程単位取得退学。ロマンス諸語文学専攻(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

yumiha

21
1世紀ほど前のシチリアの風土・人情ちゅうもんに、何も私の持ち合わせがなかったので、慣れるのに時間がかかった。シチリアの農民たちを中心に、理不尽な暮らしをせざるを得ない人々を描き出す。『或る小倉日記伝』(松本清張)も、理不尽な暮らしに甘んじるを得ない人々を描いているんだけれど、じぇんじぇん違う。清張は暗い雰囲気の中で深刻だれど、ピランデッロにはどこか諧謔があるのだ。シチリアの明るい太陽や海などが、作品に影響を与えているのかしらん?2016/01/31

トラキチ

19
16編からなる短編集であり書かれたのが1910年前後で約100年前、読みにくそうなイメージがつきまとうのであったが、翻訳が新しく(本作の刊行が2012年7月)文章は頗る読みやすい、訳者の努力に敬意を表したく思う。 内容的には多岐にわたり、プロローグに出てくるカラス達が散りばめられて登場しているような錯覚に陥る。 滑稽な話や深読みすれば悲しい話などもあり、本を閉じる時に大半の読者が目の当たりにしたことがないシチリア島のイメージがおぼろげに映像化出来るのであるが、人によってはくっきりと浮かぶのだろうか2013/08/31

ハルト

11
読了:◎ 劇作家として名を知られ、ノーベル文学賞作家ともなった、ピランデッロの短編集。映画〈カオス・シチリア物語〉の元となった六編を中心に収められてある。どの作品も、イタリア・シチリアの土着的な素朴さ朴訥さに、死や生きるほろ苦さや皮肉、喜びが語られており、悲劇的または喜劇的なものになっている。読んでいると、喜びは苦しみであり、苦しみはまた喜びでもあるような気がしてくる。シチリアの風土に根づいた寓話で、レモンの酸味苦味がキリリと効いてくる。おもしろかった。2021/12/02

rinakko

11
とてもよかった。素晴らしい。そもそもは、代表作である戯曲(『作者を探す六人の登場人物』や『エンリーコ四世』)の方に関心があったのだが、短篇も面白かった。読み始めて割とすぐに、勝手に想像していたのとは違う作風だなぁ…と感じたものの、シチリアの風土を背景にした物語たちにいつか引き込まれていた。ぞくりと怖い話や滑稽譚、じんわりと切なさが胸に広がる読み心地のもの…。作者の温かな眼差しの所為だろうか、気付けば主人公にふっと心を寄せている…そんな作品が多かった。2012/07/25

ぱせり

8
牧歌的な風景、のどかな語り口。だけど、実はやりきれない日常がそこにある。プロローグの、首に鈴をつけられたカラスが、続く14の短編の主人公たちのように思えて印象に残る。鈴の音は、真っ青なシチリア島の空をバックに、やっぱり美しい、と感じました。 2013/01/23

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