エクス・リブリス・クラシックス
火山の下

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  • サイズ B6判/ページ数 506p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784560099018
  • NDC分類 933
  • Cコード C0097

内容説明

ポポカテペトルとイスタクシワトル。二つの火山を臨むメキシコ、クワウナワクの町で、元英国領事ジェフリー・ファーミンは、最愛の妻イヴォンヌに捨てられ、酒浸りの日々を送っている。一九三八年十一月の「死者の日」の朝、イヴォンヌが突然彼のもとに舞い戻ってくる。ぎこちなく再会した二人は、領事の腹違いの弟ヒューを伴って闘牛見物に出かけることに。しかし領事は心の底で妻を許すことができず、ますます酒に溺れていき、ドン・キホーテさながらに、破滅へと向かって衝動的に突き進んでいく。ガルシア=マルケス、大江健三郎ら世界の作家たちが愛読する二十世紀文学の傑作、待望の新訳。

著者等紹介

ラウリー,マルカム[ラウリー,マルカム][Lowry,Malcolm]
1909‐1957。イギリスの小説家、詩人。ニューブライトンに生まれる。ケンブリッジ大学に進み、創作を開始、航海日誌をもとに最初の自伝的小説『群青』(33年)を執筆する。大学卒業後の34年、アメリカ人女性と結婚し、各地を転々としたあとメキシコに移住。その後も精力的な執筆活動を続けるが、57年、イギリスのサセックス州滞在中に不慮の死を遂げる

斎藤兆史[サイトウヨシフミ]
1958年栃木県生まれ。東京大学大学院総合文化研究科教授

渡辺暁[ワタナベアキラ]
1972年東京都生まれ。東京大学教養学部等非常勤講師(スペイン語)。メキシコ現代政治ならびに移民研究

山崎暁子[ヤマザキアキコ]
宮城県生まれ。東京大学大学院総合文化研究科博士課程単位取得退学。埼玉工業大学人間社会学部准教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

まふ

99
旧訳(加納秀夫)の「活火山の下」として読む。全体的に昔の列車の固い木の椅子で延々と乗って行く夜行列車のような感覚で読んだ。何が面白かったかすらがよくわからないまま肩こりをほぐしつつ終了した。手法は「意識の流れ」的であり意味なく言葉が繰り返されたりして波に乗れない。酒におぼれた領事と映画女優だった妻、腹違いの領事の弟、成功しなかった映画監督、と登場人物も黄昏れている。だが、今回は「地ならし」、次回ひまが出来たら気合を入れて読もう(寿命があれば)と思ったりして…。G1000。2023/10/05

NAO

69
「死者の日」に偶然再会しその日一日をともに過ごす、焦燥感にとりつかれた三人。各章ごとに、語られる人物が変わり、その内容も過去のことと現在のことが混在している。特にジェフリーの章は、彼が酩酊しているため、本当に起こっていることか幻覚幻聴なのか分からないあやふやさがある。舞台となっているメキシコ火山の麓の町を地獄に例えているのは、作者がダンテの『神曲』の「地獄編」としての位置付けを考えていたから。また、一日の出来事を描いているのは、ジョイスの『ユリシリーズ』を意識してのこと。2020/02/29

傘緑

48
「領事は震える手で瓶をまた唇のところに持っていった。『うまい。ふう。生き返った…地獄だ』」私自身の体調不良と相まっての読了感の宿酔い酩酊状態。その悪酔いの勢いで第一章を読み直すといういわゆる迎え酒w「譫妄症はほんのはじまりだ、地獄の入口近くで聞こえる音楽、蠅の神が指揮する序曲にすぎない…地獄に落ちるのは易し…実にたやすいよ」失われた愛、離婚した妻への喪失を埋めるため酒にすがりつき、愛の対象が酒への欲求へと染まり膿んで爛れ頽れていく…地獄だ。「愛の経験は、あとではそれがなくては堪えられなくなる(稲垣足穂)」2017/02/12

兎乃

44
もの凄く時間がかかりました。高尚にクダを巻く 饒舌な酔っぱらいの語りを延々24時間ぶっちぎりで しかも1×1で聞かされた感。勝手なアル中もここまで本気だと おそろしく芸術的な幻想や詩を生み出したりするわけで、愛は壮絶な喜劇なのかもしれません。おしゃれなBarで ちまちまと軽い酒で気取っていては この絶望には到底届かないでしょう。絶望のための狂宴、面妖な世界、面倒臭いおじ様の24時間、間違いなく酔えます。。文学をこじらせた真面目な青年が憧れたりするんだろうなぁと、ふと思いました。 2013/05/06

拓也 ◆mOrYeBoQbw

42
長篇小説。意識の流れ。メキシコの1938年の”死者の日”。クアウナワクの街で酒に溺れた元領事ジェフリーと、別居から突如戻った妻イヴォンヌを巡る物語。序章が1939年での回想でジェフリーが”死者の日”に死んでいる事が解ります。イギリス作家がメキシコの風土に強い影響を受けた作品で、作中も古典文学からの引用に加え、メキシコの歴史、伝承、そして詳細な街の描写など、”意識の流れ”を用いて織り込まれ衒学的な作品となっています。インテリの妄想は独白は厄介だなあ、と思い知らされる作品です(*^∀^)ノシ2019/04/29

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