上課記―中国離島大学の人生講義

王 小〓【著】/ふるまい よしこ【訳】

白水社（2020/03発売）

• サイズ 46判／ページ数 260p／高さ 19cm
• 商品コード 9784560097519
• NDC分類 377.28
• Cコード C0030

出版社内容情報

経済的繁栄がかつてない格差を生み出す中国。それでも懸命に生きる若者にどう寄り添えばいいのか。教師と学生の感動の記録

内容説明

海を越えた山びこ学校。経済的繁栄がかつてない格差を生み出す中国。それでも懸命に生きる若者にどう寄り添えばいいのか。海南島の国立大学における教師と学生の感動の記録。

目次

第１章　わたしが彼らにしてあげられること―二〇〇六年度講義（見上げる目；農村出身の若者たち　ほか）
第２章　一番大事なのは心を込めること―二〇〇七年度講義（八十人の学生たち；専攻　ほか）
第３章　「主役はわたしたちみんな」―二〇〇八年度講義（最初の授業；文理科実験クラスへの引っこ抜き　ほか）
第４章　ふるくさいルールよ、さらば―二〇〇九年度講義（迎新；壁　ほか）
第５章　生活の隅々で輝く子どもたち―二〇一〇年度講義（「九〇後」が大人になった；あるスピーチ大会　ほか）

著者等紹介

王小〓［オウショウニ］
１９５５年、中国吉林省生まれ。１９８２年、吉林大学を卒業。当時のクラスメイトに民主活動家劉暁波氏がいた。卒業後、映画製作所に勤務。１９８５年に香港との境界に位置する深〓に引っ越し、以来同地を拠点に詩人、コラムニスト、エッセイストとして活躍。海南大学では２００５年から２０１２年まで教鞭を執っていた

ふるまいよしこ［フルマイヨシコ］
フリーランスライター、翻訳家。１９８７年、北九州大学外国語学部中国学科卒業。香港中文大学で広東語を学び、その後、ライターとして独立（本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです）
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感想・レビュー

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[sonettch]

「（夢について）あなたの前ではぼくは君子で、お金の前ではぼくは卑しい人間だ。ぼくは君子になりたい、でも、お金はぼくの顔に卑しい人間のお面を付けさせる」（p.200），「率直さ、冷静さ、そして善良さを死ぬまで持ち続けたい。死ぬときに自分に向かって微笑むことができるよう、だれにも恥じることがないように」（p.220）←学生の作文からの抜粋。やはり理想を持ち続けることは大事だと思う。日本の現政権の大臣を見てごらん。卑しいお面が貼り付いた人間ばかりで嫌になる。

2020/06/24

[ののまる]

いい教師だなあ。詰め込み式の、ただただ受験のための教育を受けて大学に進学してきた生徒たち。しかしそこでもまた苛烈な競争があり、さらに卒業しても大学生量産のため職もままならず、農民出身だから蔑まれる。不安と鬱と絶望と。そもそも海南島という辺境の底辺大学にしか受からず、親が出稼ぎで何とか教育費を作ってくれた農民出身の学生たちに、どんな人にもその人だけの物語があるのだ、と教えていく。「80後、90後（80，90年代生まれ）」は異質な世代としてバッシングされるが、彼らの思いがここに凝縮されていて、胸が熱くなる。

2020/09/08

[文公]

「(夢について)あなたの前でぼくは君子で、お金よ前ではぼくは卑しい人間だ。ぼくは君子になりたい、でも、お金はぼくの顔に卑しい人間のお面を付けさせる。」 p.200 l.17-18.

2020/12/19

[massda]

中国の田舎、海南島でメディアを専攻する大学生を観察した記録だが、たまに青春が尊くて直視できない。大理の蒼山の茶畑にバイトに行った晏恒瑶のエピソードとか一幅の百合。大学に戻る前に引継ぎの女子大生（天文学専攻）をネットで見つけて二人で星のことを学ぶんですよ。「若いのにあわてふためいて山にこもるな」とアドバイスする台湾の作家がいい味だしている。

2020/04/11