出版社内容情報
「歴史家」はいかに生まれるのか。1968年駒場から歴史認識論争を経て、比較革命史へと至る維新史家の遍歴を辿る。
内容説明
1968駒場から歴史認識論争を経て、比較革命史へと至る維新史家の遍歴を辿る。
目次
1 世界の中の明治維新(維新への旅―現代世界から維新の日本へ;明治維新―通説の修正から革命の世界比較へ;攘夷論はなぜ開国策に変わったのか;十九世紀グローバル化への対応―中・日・韓三国の分岐)
2 「歴史認識」への省察(アメリカは小さい国である―近代日本の知の「慣習」を脱するために;『坂の上の雲』の在りか―『大人のための近現代史 一九世紀編』編集後記;日中韓の歴史認識問題―東アジアの平和の阻害要因にどう対処するか)
3 啓発と模索の軌跡(一九六八年駒場―東大入学と大学紛争;並木頼寿さんの思い出;佐藤誠三郎先生語録;インド滞在記;中学野球部の回想)
歴史家が歴史に出会うとき―あとがきに代えて
著者等紹介
三谷博[ミタニヒロシ]
1950年生まれ。東京大学大学院人文科学研究科博士課程修了。文学博士。東京大学大学院総合文化研究科教授を経て、跡見学園女子大学文学部教授、東京大学名誉教授。著書に『明治維新とナショナリズム』(山川出版社、サントリー学芸賞)他(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
禿童子
34
勤王vs佐幕の構図と薩長等の尊王の志士の活躍といった明治維新に対する大河ドラマ的な既成概念に一石を投じる三谷史学のダイジェストという位置づけの本。尊王を旗印に開国に反対する勢力が、クーデターで権力を得ると積極開国して欧化路線に転じた理由など、説得力のある議論だと思います。外国勢力の圧力に対してどう応じるか様々なオプションが幕末に検討され用意されていた(特に橋本左内など)。復古をスローガンにした「革命」という評価(犠牲者3万人は異例に少ない)。複雑系の研究がどう生かされているのかは他著を読む必要がありそう。2020/07/12