かくしてモスクワの夜はつくられ、ジャズはトルコにもたらされた―二つの帝国を渡り歩いた黒人興行師フレデリックの生涯

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かくしてモスクワの夜はつくられ、ジャズはトルコにもたらされた―二つの帝国を渡り歩いた黒人興行師フレデリックの生涯

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  • サイズ 46判/ページ数 366p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784560097229
  • NDC分類 289.3
  • Cコード C0022

出版社内容情報

この生涯もまた、彼がプロデュースしたスペクタクルなのか?

 厳酷な黒人差別社会に見切りをつけたミシシッピ生まれのフレデリックは、海を越えて旧大陸へ渡り、帝政時代のモスクワでアメリカン・ドリームを?むのだが……ロシア文学の碩学による、まるで物語(フィクション)のような歴史ノンフィクション。アメリカ南部の社会、爛熟する帝政末期のモスクワの夜、そして、第一次世界大戦とロシア革命の勃発――激動の時代を背景に描かれる、不屈な男の、凄まじくも痛快で爽快な魂の遍歴。
 とはいえ本書の面白さは、われらが「主人公」フレデリックの波瀾万丈な人生を追うことだけにとどまらない。彼がモスクワで成り上がる過程は、じつは帝政末期ロシアにおけるミドルクラスの勃興と軌を一にしている。マクレイノルズ『〈遊ぶ〉ロシア』(法政大学出版局刊)で分析されたようなこの時代のロシアのミドルクラスの余暇の過ごし方――劇場、スポーツ、ツーリズム、ナイトライフ、映画――と、フレデリックが活躍した娯楽庭園やナイトクラブは、切っても切れない関係にある。フレデリックや、彼を取り巻いた人びとの姿を通して、大衆文化の揺籃期特有の熱気をも感じることができるのだ。
 巻末に沼野充義氏(スラヴ文学者)による解説を収録した。

内容説明

厳酷な黒人差別社会に見切りをつけたミシシッピ生まれのフレデリックは、海を越えて旧大陸へ渡り、帝政時代のモスクワでアメリカン・ドリームを掴むのだが…ロシア文学の碩学による、まるで物語のような歴史ノンフィクション。アメリカ南部の社会、爛熟する帝政末期のモスクワの夜、そして、第一次世界大戦とロシア革命の勃発―激動の時代を背景に描かれる、不屈な男の、凄まじくも痛快で爽快な魂の遍歴。

目次

プロローグ 生きるか死ぬか
1 南部のなかの南部
2 フレデリックの修業時代
3 モスクワにまさるものなし
4 最初の富
5 ロシア人になる
6 喪失と逃走
7 コンスタンティノープルでの再起
8 アメリカ市民権を求めて
9 ジャズのスルタン
エピローグ 死者と生者

著者等紹介

アレクサンドロフ,ウラジーミル[アレクサンドロフ,ウラジーミル] [Alexandrov,Vladimir]
亡命ロシア人二世としてニューヨークに育つ。プリンストン大学で比較文学の博士号を取得。ハーヴァード大学を経て、イェール大学スラヴ語・スラヴ文学学科教授として長年ロシア文学を教えてきた。アメリカにおけるロシア文学研究の第一人者として知られる

竹田円[タケダマドカ]
東京大学大学院人文社会系研究科修士課程修了。スラヴ文学専攻(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

どんぐり

78
南北戦争後に自由黒人となった両親のもとに生まれたフレデリック・ブルース・トーマス(1872—1928年)の数奇な人生。父親が殺された18歳の時に家を出て、シカゴ、ニューヨークでホテルの給仕の仕事についた後、ニューヨーク‐ロンドン間の客船で欧州へ渡る。パリ、モンテカルロ、ミラノ、ウイーンなどでメートル・ドテルの技術と経験を積み、モスクワに落ち着く。ロシア帝国が最晩年に突入していた1899年のことである。ここから、「アクアリウム」という娯楽庭園の興行主としての成功の階段を昇り始め、1919年に無一文となって港2020/09/11

グラコロ

19
大筋はタイトルどおり(笑)。でも、時代が悪かった。米南部に生まれた解放奴隷の息子フレデリック・トーマスは、持ち前の機転と卓越した言語力を生かしてヨーロッパ、東欧、そしてロシアにたどり着く。そこでは肌の色では差別されない。フレデリックは興業主として巨万の富を得たがロシア革命。すべてを失ない、第一次大戦後に連合国支配となったイスタンブールに逃れてやり直し。見事V字回復となりそうな時に連合国が撤退、トルコ共和国誕生。まさにジェットコースター人生。惜しむらくは人物像にもっと深く切り込んでほしかったかな。2020/04/09

maja

17
彼の生き方の軸となる「南部のなかの南部」の章。当時、黒人で広い世界があることを感じることのできた稀な人物だ。国を出て給仕として欧州を渡り歩き、才覚ひとつでやがてモスクワで興行界の頂点を極めるが帝国は崩壊、難民となってコンスタンティノープルに逃れて興行業で再起を果たす。が、それもまたひとつの時代のうねりに呑まれていく。こうした人物がいたのだ。変動していく流れのなかで埋もれまいとする息遣いが間近に感じられる。ロシア文学研究者の著者によって丹念に掘り起こされた一個人の伝記で時代背景も興味深い。 2020/10/15

春ドーナツ

15
そもそもの理由が思い出せないのだけれど、帝政ロシアに前々から興味があって、目についたものはちょくちょく読んできたような気がする。Xさんが読書メーターに本書を登録されているのを見た途端、矢も楯もたまらず図書館で予約した(こんにちは、ありがとうございます)。歴史書の類ではたぶん余り扱われていないモスクワのナイトライフのくだりは、VRゴーグルを装着しながら読んでいるような興奮状態だった。カーソン・マッカラーズの小説を読んだ直後だったので、フレデリックさんの奮闘をとてもエモーショナルに追い続けた。涙ぐましいです。2020/10/25

アヴォカド

15
フレデリック・ブルース・トーマス、1872-1928。南北戦争の後奴隷解放宣言を経てすぐのこの時代に、アメリカ南部からヨーロッパへ渡り、各地で言葉や所作を身につけながら興行師として成功し巨万の財を成した黒人がいたなんて。フィクションかコミックかというほどの波瀾万丈。リサーチの綿密さ膨大さが推し量られる。面白かった。2020/03/03

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