「戦場のピアニスト」を救ったドイツ国防軍将校―ヴィルム・ホーゼンフェルトの生涯

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  • サイズ B6判/ページ数 334p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784560097120
  • NDC分類 289.3
  • Cコード C0022

出版社内容情報

「私の眼の前にいるのは、いつも人間だ」

 映画『戦場のピアニスト』では、ユダヤ系ポーランド人ピアニストのシュピルマンが戦禍を免れ、ワルシャワ陥落直前、ドイツ人将校に発見されて絶体絶命という緊迫したシーンがある。ところが、そのドイツ人将校は、ピアニストの彼にピアノを弾かせて励まし、食料を運んで命を救った。
 本書は、まさにその「ドイツ国防軍将校、ヴィルム・ホーゼンフェルトの生涯」を描いた歴史読物だ。近年まで知られていなかったが、彼の日記と妻と交わした大量の書簡が発見された。ホーゼンフェルトは、「シンドラー」、「白バラのショル兄妹」、「杉原千畝」の陰に隠れていたが、迫害された数多のポーランド人やユダヤ人を彼が救済したことが明らかになったのだ。ヒトラーとナチズムを信奉していたホーゼンフェルトは、絶滅戦争の真実を目の当たりにして、「救済による抵抗運動」へと転じたのだった。
 本書は、《ドイツ青少年文学大賞》受賞の作家が、勇気と倫理を貫いた「正義の人」の生い立ちから、家族関係、悲運の最期までを、史実をたどりながら書簡と日記で再現する。夫婦で交わした率直な思い、愛情、不安や迷いを伝える文章は、読者の心を揺さぶるだろう。写真多数収録。

内容説明

迫害された数多のポーランド人やユダヤ人を救済した、「正義の人」の素顔とは?ドイツ青少年文学大賞受賞の作家が、「軍服を着た博愛主義者」の悲運の生涯を、書簡と日記で再現する。写真多数収録。

目次

序文 私の眼の前にいるのは、いつも人間だ
第1部 カトリシズムと身体文化(ヘッセン州の村で;第一次世界大戦―喜び勇んで命令に従った ほか)
第2部 批判的服従(私もその一員なのだ;ポーランドで―捕虜施設の建設 ほか)
第3部 共犯的罪悪感と、救済による抵抗運動(ユダヤ住民の殺戮という大罪;ユダヤ人の運命―彼らはなぜ、沈黙したまま抗議の声をあげないのか? ほか)
第4部 ソヴィエトの捕虜となって(君たちのことがいつも気がかりだ;救出への試み―神経戦 ほか)
エピローグ 遅すぎた顕彰―諸国民の中の正義の人

著者等紹介

フィンケ,ヘルマン[フィンケ,ヘルマン] [Vinke,Hermann]
1940年生まれ。ドイツのジャーナリスト、作家。「白バラ」グループのゾフィー・ショル、「ローテ・カペレ」のカト・ファン・ボンチェス、ノーベル平和賞受賞者カール・オシエツキーら、ナチス抵抗運動家に関する著作がある。なかでも「ドイツ青少年文学大賞」を受賞したゾフィー・ショルの評伝をはじめ、青少年の読者を対象にした現代史関連の著作も多い

高田ゆみ子[タカダユミコ]
1956年大阪生まれ。東京外国語大学ドイツ語学科卒業。東京大学大学院比較文学比較文化修士課程修了(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

蘭奢待

59
シュピルマン原作の映画「戦場のピアニスト」を見て感銘を受けた人は是非読むべき。先の大戦での酸鼻を極めるユダヤ人への弾圧、強奪、殺戮を加えていたナチス党。党員かつドイツ国防軍将校でありながら、危険を顧みず、世にも知られずにユダヤ人を被害から救った。シンドラーや杉原千畝、あるいはクラウス・フォン・シュタウフェンベルクやゲオルクと並び称されるべきだが、その出自から栄誉に恵まれぬまま戦犯として裁かれ、獄中死に至る悲劇。ヴィルム・ホーゼンフェルトの人となりがよくわかる。2020/07/14

星落秋風五丈原

45
映画『戦場のピアニスト』より。 悪夢のような1か月を想像上のピアノに向かうことで乗り切ったウワディク・シュピルマンは、ある日とうとう独りのドイツ人将校ホーゼンフェルト大尉に見つかってしまう。ウワディクが自分はピアニストだと言うと、将校はピアノのある部屋へ彼を連れて行き何か弾くよう命じる。2年ぶりの演奏を静かに弾き始めるピアニスト、暗闇の中にショパンが響き渡る。抗するには大きすぎる権力の中に在りながらも、自分に出来ることを選び取ることができた人がいたことは、ドイツにとって誇りである。2019/09/08

キクチカ いいわけなんぞ、ござんせん

32
映画「戦場のピアニスト」を最後に助けたドイツ国防軍将校ホーゼンフェルトは一度ならずピアニストに食料を届け匿っていた。他にも何人ものポーランド人をナチスに隠れて助け続けていた。その彼の生涯について。妻に毎日のように手紙を書き、その内容で当時のナチスがポーランドでどういう行いをしたか、略奪殺害暴行連行破壊のかぎりを尽くし、嘘や事実をねじ曲げた情報で沢山の人々を恐怖に陥れたか。ホーゼンフェルトはドイツ軍ながら嫌悪と恥と憤怒で手紙を書いている。助けられる者は全部助ける、と言うのが彼の理念。表紙は彼の写真。2020/10/29

テツ

26
人種的な蔑視から生まれる憎しみや怒り、そこから暴走していくジェノサイド。それは〇〇人というカテゴライズを行い、個人個人を一人ずつ見ることなくつきあうこともなく、淡々と出来上がる大きな(狂った、負の)イメージから生まれる。そうしたものに流されなかったドイツ人将校のヴィルム・ホーゼンフェルト。ポーランドでのドイツ兵による蛮行を目の当たりにして自らの正義に疑問を抱き、たくさんのポーランド人を救った彼は戦後ソ連軍の捕虜となり非業の死を遂げる。正義と邪悪って何なのか。神様はいないのか。そんなことを考えてしまう。2019/08/25

スー

20
1戦場のピアニストで最後に登場してシュピルマンを救ったヴィルム・ホーゼンフェルトは敗戦間近で自棄っぱちで助けたのか?それとも日頃から人助けをしていたのか?手紙や証言とたまにシュピルマンの回想を挟む形で語られてます。ホーゼンフェルトは当初はヒトラーに心酔するがポーランドに派遣されドイツ軍によるポーランド人とユダヤ人に対して酷い扱いをしているのを目の当たりしてから不信感を懐きフランスでの勝利で信頼し直すが続く暴力行為や幹部の腐敗などから失望に替わっていく。けど教師だったホーゼンフェルトは変わる事なく2023/01/02

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