出版社内容情報
東独、ポーランド、ハンガリーにおいて、ソ連はいかに勢力圏を確立したのか? 『グラーグ』(ピュリツァー賞受賞)の歴史家による決定版!
内容説明
ソ連の傀儡、追従者から、面従腹背の市民、労働者まで、肉声が蘇る。「東ベルリン暴動」から「ハンガリー革命」まで、テーマごとに縦横に活写。ピュリツァー賞受賞の歴史家が、最新研究に基づいて、「スターリン主義」の真相を暴く!
目次
第2部 スターリン主義絶頂期(反動的敵対者;内なる敵対者;ホモ・ソヴィエティクス;社会主義リアリズム;理想都市;不承不承の協力者;受動的反対派;革命)
著者等紹介
アプルボーム,アン[アプルボーム,アン] [Applebaum,Anne]
1964年生まれ。米国出身の歴史家、ジャーナリスト。『ワシントン・ポスト』のコラムニスト。『グラーグソ連集中収容所の歴史』(白水社)でピュリツァー賞受賞。『鉄のカーテン―東欧の壊滅1944‐56』で全米図書賞の最終候補、クンディル歴史賞受賞
山崎博康[ヤマザキヒロヤス]
1948年、千葉県生まれ。東京外国語大学卒業、共同通信社入社。ワルシャワ支局長、モスクワ支局長を歴任。現在、共同通信社客員論説委員。法政大学非常勤講師(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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まつだ
1
1956年のスターリン死亡まで。ひとりの妄執が一瞬で数十万人の命を奪い去る。北朝鮮、リビアと現在までまだ続いている。終わった話ではない。ユーゴスラヴィアはいまだに収まらず(ハプスブルク時代をほめたたえる論調まででてきてる)、EUは反論できる共産主義みたいになってきたし、北マケドニアはNATOに加盟するしで、新グレート・ゲームも、いつの日かこう1冊にまとまるんかな。2020/03/29
TK39
1
体制側の言う反対派にはナチスと戦ったレジスタンスも含まれる。教会は言わずもがなだが、体制側と妥協したポーランドでは教会は一定の力を持ちつづけ、1989年の革命の際に活躍したが、ハンガリーでは体制側と妥協せずに力を失った。 妥協は正解だったと言うことか。 文化、教育など社会がどのように変革させられたが主題の本だった。2019/05/11
渡邉駄作
0
上巻に続き内容は重いが市民たちの生活の描写になるとやや和むが、自殺に追い込まれる精神分析医とか、信念を曲げざるを得ない画家とか強烈な鬱エピソードが何度もぶち込まれ読み進めるのが辛い。スターリンの死は一つの開放だったが、それはまだ壁の崩壊ではなかったわけで。更に冷戦終結後の民族紛争やらなんやらが思い浮かび読後感はよろしくない。2019/06/23
あらい/にったのひと
0
訳者あとがきにある、著者がこの本を書くにあたって取材したハンガリーの歴史家に対する困惑を隠せないという話がちょっと笑ってしまう。この間のロシアが90年代の混迷の原因を(本当にそんなものがあったのかは分からないが)行き過ぎた自由に求めているのと同じようなことがあるのだなと。日本も似たようなものだけど。他の部分も含めて訳者あとがきがなかなかよいので、そこまで読んでこその日本語版って感じです。2020/04/19
Oltmk
0
戦後東欧の東ドイツ・ポーランド・ハンガリーの三国を中心に、共産化された東欧社会で人々がどう生きていったかを描いた専門書。上巻で描かれた民族浄化などといったものは無いが、迫害されたり自ら体制に協力したりした宗教者、体制を皮肉するジョークを用いて反発する一介の市民たち、体制に妥協する人間たちなどが描かれており上巻に続いて爽やかな読後感などは一切得られない。かなり精神的にダメージが入る専門書ではあるが、戦後東欧を知りたい人間にとってはお勧めできる書籍。2019/07/03
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