ナショナリズムと相克のユーラシア―ヨーロッパ帝国主義の負の遺産

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  • サイズ B6判/ページ数 309p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784560096628
  • NDC分類 311.3
  • Cコード C0022

出版社内容情報

分断と紛争の本質に迫る!

 2011年の「アラブの春」は多くの人びとの希求とは裏腹に紛争の引き金となり、結果、大量の難民がヨーロッパに押し寄せて、移民・難民の排除を唱える極右勢力の台頭を許すこととなった。さらに、疎外されたムスリムの一部はヨーロッパ域内でテロ事件を起こし、ヨーロッパの安全保障上の重大な脅威となっている。
 現在の中東イスラーム世界やヨーロッパに紛争や対立をもたらす思想的背景として「ナショナリズム」の存在が指摘されるが、本書では、ヨーロッパで生まれた「ナショナリズム」の概念がいかにイスラーム世界を困難な状態に置いたかを明らかにしていく。具体的には、栄華を極めたオスマン帝国に対するヨーロッパの帝国主義侵出の歴史と、その秩序に反発した中東イスラーム世界の近現代史、クルド・ナショナリズム、イランとアラブ世界との民族的角逐など、現在のユーラシア情勢をかたち作った歴史的要因を分析する。変わりゆくイスラームとヨーロッパというユーラシアの国際構造の、とくに思想的背景を明らかにするものである。
 「ナショナリズム」をキーワードに中東・ヨーロッパに遍在するさまざまな対立軸を俯瞰することで、繰り返し起こる紛争の本質に迫る。

内容説明

分断と紛争の本質に迫る!中東・ヨーロッパに遍在するさまざまな対立軸を俯瞰し、その歴史的・思想的背景を明らかにする。

目次

第1章 現代ユーラシアの錯綜する対立軸
第2章 十九世紀以前のイスラム・ユダヤ・キリスト教の共存と相克
第3章 「ナショナリズム」の発生とその病巣
第4章 ヨーロッパの膨張主義と中東イスラム世界の半植民地化
第5章 ヨーロッパ帝国主義は中東イスラム世界に何をもたらしたか?―両大戦間期の変動
第6章 退潮する英仏の影響力と、反米意識の高揚
第7章 ポスト冷戦期の確執・衝突
第8章 イスラムをめぐるユーラシアは今後どうなるのか?
終章 いかに狭量な「ナショナリズム」を乗り越え、平和や共存の普遍的価値を取り戻すか

著者等紹介

宮田律[ミヤタオサム]
1955年、山梨県生まれ。現代イスラム研究センター理事長。83年、慶應義塾大学大学院文学研究科史学専攻修了。UCLA大学院修士課程(歴史学)修了。専門は現代イスラム政治、イラン政治史。著書多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

蘭奢待

46
ヨーロッパを中心として、中東、中央アジアとの相克を中世から現代に及ぶ遍歴を説く。網羅的、教科書的で読みにくいが俯瞰して理解するのに適している。人種主義、宗教を種とし、そこに移民、難民と経済不況がばらまかれると虚栄心、恐怖心からくる差別意識が生まれる。 政府は過去の栄華の歴史を説き、誇りと危機意識を持ち、回帰せよと説く。不況で格差が拡大した社会の底辺層がこれになびく。世界各国で自国主義と右傾化。そして日本。安倍政権による過去への回帰スローガンの危うさ、米国一辺倒の外交政策の危うさに声を上げよと説く。2019/11/24

うえ

9
プーチンのネオユーラシア主義までは言及がなかった。「プーチン政権のナショナリズムは、チェチェン侵攻にも表れ、チェチェンの分離独立勢力を集団の性格も問わずにテロリストと決めつけた。…エリツィン政権下の自由主義がロシア社会を秩序ないものにしたと彼は考えた…ロシアのナショナリズムは、ロシア国民の失った自信、怒り、やり場のなさから国民の目をそらし、自尊心を再び植えつけることをめざすものである。プーチン政権のナショナリズムは、国民の福利に十分な注意を払うことがなく、ロシアの栄光に訴え、中央集権的な性格を強めている」2022/03/07

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