出版社内容情報
分断と紛争の本質に迫る!
2011年の「アラブの春」は多くの人びとの希求とは裏腹に紛争の引き金となり、結果、大量の難民がヨーロッパに押し寄せて、移民・難民の排除を唱える極右勢力の台頭を許すこととなった。さらに、疎外されたムスリムの一部はヨーロッパ域内でテロ事件を起こし、ヨーロッパの安全保障上の重大な脅威となっている。
現在の中東イスラーム世界やヨーロッパに紛争や対立をもたらす思想的背景として「ナショナリズム」の存在が指摘されるが、本書では、ヨーロッパで生まれた「ナショナリズム」の概念がいかにイスラーム世界を困難な状態に置いたかを明らかにしていく。具体的には、栄華を極めたオスマン帝国に対するヨーロッパの帝国主義侵出の歴史と、その秩序に反発した中東イスラーム世界の近現代史、クルド・ナショナリズム、イランとアラブ世界との民族的角逐など、現在のユーラシア情勢をかたち作った歴史的要因を分析する。変わりゆくイスラームとヨーロッパというユーラシアの国際構造の、とくに思想的背景を明らかにするものである。
「ナショナリズム」をキーワードに中東・ヨーロッパに遍在するさまざまな対立軸を俯瞰することで、繰り返し起こる紛争の本質に迫る。
内容説明
分断と紛争の本質に迫る!中東・ヨーロッパに遍在するさまざまな対立軸を俯瞰し、その歴史的・思想的背景を明らかにする。
目次
第1章 現代ユーラシアの錯綜する対立軸
第2章 十九世紀以前のイスラム・ユダヤ・キリスト教の共存と相克
第3章 「ナショナリズム」の発生とその病巣
第4章 ヨーロッパの膨張主義と中東イスラム世界の半植民地化
第5章 ヨーロッパ帝国主義は中東イスラム世界に何をもたらしたか?―両大戦間期の変動
第6章 退潮する英仏の影響力と、反米意識の高揚
第7章 ポスト冷戦期の確執・衝突
第8章 イスラムをめぐるユーラシアは今後どうなるのか?
終章 いかに狭量な「ナショナリズム」を乗り越え、平和や共存の普遍的価値を取り戻すか
著者等紹介
宮田律[ミヤタオサム]
1955年、山梨県生まれ。現代イスラム研究センター理事長。83年、慶應義塾大学大学院文学研究科史学専攻修了。UCLA大学院修士課程(歴史学)修了。専門は現代イスラム政治、イラン政治史。著書多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
蘭奢待
うえ