出版社内容情報
「敗者の歴史」が名画を語る
遠近法を駆使した不思議な構図で知られるルネサンス時代の名画、ピエロ・デッラ・フランチェスカの《キリストの鞭打ち》は、その構図の意味のみならず、注文主・真の主題・描かれた人物が誰かまで謎であり、長年にわたって著名な研究者たちがいくつもの説を発表してきた。本書は、いままで用いられてこなかったビザンティン帝国の史料も活用し、当時の激動の世界史からこの一連の謎を読み解く。
著者はいわば絵の周りに、教皇たち、高位聖職者、皇帝や有力な領主たち、ギリシアと西欧の王女たちを呼び集める。ミストラ、コンスタンティノポリス、フィレンツェ、ローマ、マントヴァ、ウルビーノといった各地の出来事がポリフォニー的に展開するなかで、さまざまな美術史家の、そして著者自身の見解が述べられ、あたかもモザイク画のように、謎解きの全体像をかたちづくっていく。
該博な知識に裏打ちされた、斬新な1冊。巻末に、監訳者による《キリストの鞭打ち》研究史と15世紀の時代背景をまとめた解説つき。
内容説明
「敗者の歴史」が名画を語る。優れた数学者でもあった画家の代表作に秘められた、注文主・真の主題・構図・描かれた人物の謎を、新たにビザンティン帝国の史料も活用し、当時の激動の世界史から読み解く。“キリストの鞭打ち”研究史と十五世紀の時代背景をまとめた解説付き。
目次
闇の奥から
バレス
悲しみを湛えた高貴な物腰の人物
聖ペトロの御座の知識人
エネア・シルヴィオの顔
西欧の花嫁
弟子
ヨハン・ダヴィッド・パッサヴァン
コンスタンツ湖畔の一団の肖像
皇妃よ、喜びたまえ〔ほか〕
著者等紹介
ロンケイ,シルヴィア[ロンケイ,シルヴィア] [Ronchey,Silvia]
ピサ高等師範学校修了。ローマ第三大学人文科学部教授。ビザンティン史、古代文学、古代文化専攻
池上公平[イケガミコウヘイ]
早稲田大学大学院文学研究科博士後期課程中退。共立女子大学文芸学部教授。専攻はイタリア美術史
長沢朝代[ナガサワアサヨ]
早稲田大学大学院文学研究科美術史学コース博士後期課程修了
林克彦[ハヤシカツヒコ]
慶應義塾大学大学院文学研究科美学美術史学専攻後期博士課程修了。慶應義塾大学非常勤講師(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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