出版社内容情報
永井荷風の名作を飾った木村荘八の挿絵を人気画家が詳細に検証、舞台となった玉の井を中心に、刊行80年後の風景を新たに描く異色作
内容説明
麻布、銀座、浅草、向島、玉の井…名作の原風景。風景の詩人と評された永井荷風の視線を辿りながら、追憶の街並みを甦らそうとした意欲的な画文集。
著者等紹介
唐仁原教久[トウジンバラノリヒサ]
1950年鹿児島生まれ。1984年デザイン事務所「HBスタジオ」、1985年「HBギャラリー」開廊。イラストレーター、またADとして、広告・装丁・雑誌などを中心に多くの作品を手掛ける(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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すたれがみのきれはし
2
濹東綺譚において「わたくし」でもあり作者でもある荷風が歩いた道筋を、現代の町並みの中に見出そうとした本。空襲で焼き尽くされ、長い時を経てしまったため当時の面影はもう地名にしか残っていないほどだけれど、「わたくし」がお雪さんと最初に出会った場所を解明しているのは凄いと思った。著者の描いた趣のある挿絵が良いです。2019/01/15
goodchoice
2
荷風の濹東奇譚の舞台である玉ノ井を歩きながら、現在の状況と比べ、強く思いをはせる。私も一回行ったことがあるが、まったく変わった街並みを見て、思いを巡らすのも一興か。主人公の心情をくみ取りながら、当時の荷風の考えとシンクロするという複雑な試みをしている。当時の世相は現在と大きく違うので、それなりに興味深い。菊池寛と永井荷風の仲が悪かったとは知らなかった。2018/01/03