出版社内容情報
百貨店、炭鉱、そして近代市場。資本主義が立ち上がってくるパリを支配していたものは何か?自然主義文学と欲望の力学の鮮やかな交錯
内容説明
百貨店、炭鉱、そして近代市場。資本主義が立ち上がってくる近代フランスを支配していたものは何か?自然主義文学と“欲望の力学”の鮮やかな交錯。
目次
新たなゾラ像の構築に向けて
1 “問い”としての歴史と社会(『ルーゴン=マッカール叢書』の起源;歴史からユートピアへ;歴史の始まりと終焉―『ルーゴン家の繁栄』から『壊滅』へ)
2 女・芸術・パリ(『ナナ』から『夢の女』へ―作品はどのように生成するか;『制作』あるいは芸術家の殉教;ゾラとパリの創出)
3 ゾラの眼差し、ゾラへの眼差し(書簡の言説とレトリック;時代に切り込む視線―ジャーナリスト・ゾラ;ゾラはどう読まれてきたか)
補違『ルーゴン=マッカール叢書』各巻のあらすじ
著者等紹介
小倉孝誠[オグラコウセイ]
1956年生まれ。東京大学大学院博士課程中退。現在、慶應義塾大学文学部教授。専門は近代フランスの文学と文化史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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パトラッシュ
103
ゾラ作品には現代との共通性を強く感じる。貧富の格差に政治腐敗、宗教と権力の結びつき、鉄道やジャーナリズムの勃興、売春や炭鉱の底辺労働、勝つつもりで突入した戦争での惨敗と、19世紀フランス第二帝政期が舞台ながら聞いたことのある話ばかりだ。民族と時代が異なれど人の弱さ愚かさは変わらない事実を描き出したため、醜い現実を見たくない人から激しく非難された。同様のカオス化が進む日本だが、その文学にはゾラほど強烈に社会のあるがままを抉り出す作家は見当たらない。今こそ歴史を物語として定着させる第二のゾラが望まれるのだが。2024/02/20
青色
2
自分が勉強してることとちょっと違うから今はできないけどもっと19世紀のパリという都市についてもよく知りたいな2017/10/29