出版社内容情報
日本全国、冷えた心も温まる! かつて噴火に見舞われた地に、人形遣いの親子が、謎の依頼状を手に迷いこんだ……一夜限りの出来事。
地獄谷温泉 無明ノ宿
あとがき
特別付録
上演記録
タニノクロウ[タニノクロウ]
1976年、富山県生まれ。昭和大学医学部卒業。庭劇団ペニノ主宰。劇作家・演出家。主要作品『ダークマスター』『笑顔の砦』『苛々する大人の絵本』『星影のJr.』『誰も知らない貴方の部屋』『大きなトランクの中の箱』『水の檻』
内容説明
第60回岸田國士戯曲賞受賞作品。日本全国、冷えたこころも温める!かつて噴火に見舞われた土地に、人形遣いの親子が謎の依頼状を手に迷いこんだ…一夜限りの出来事。北陸新幹線の開業により消失した多くの生命に、「圧倒的な惨めさ」が魅力の人形劇を捧げる、庭劇団ペニノ主宰タニノクロウの文学的な世界!
目次
地獄谷温泉 無明ノ宿
特別付録
上演記録
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
りえこ
12
岸田戯曲賞受賞作品。不思議な雰囲気で、とても面白かったです。人形つかいの親子と、湯治場での物語。 気高く寂しく虚しく、生きていかなきゃと生命力を与えられる作品でした。2017/09/14
こばやしこばやし
7
人間の肉としての質感や量感を生々しくも美しく描き出していた。読み物としての戯曲でありながら、舞台で上演される台本でもあるのが不思議。それくらい、ト書きが丁寧で詳らかにされていた。声の存在は饒舌過ぎるが、演劇の可能性にも寄与していると思う。想像を膨らませてくれる表現の豊かさ。様々な価値観がある中で、「醜さ」や「惨めさ」、「弱さ」などネガティブさが際立つ観念を反転させ、妖しく光り輝く世界を作っていた。一読しただけでは分からなかった部分も多かったが、汗を掻き緊張で強張る肉体がそこにはあり、とても魅力的だった。2024/09/07
ふう
7
庭劇団ペニノのタニノクロウの第60回岸田國士戯曲賞受賞作。北陸新幹線の開通で消える運命にある富山の温泉宿を舞台に、人形遣いの親子を中心とした「胸がサワサワ」する一夜の物語。温泉から立ち上る湯気のようにゆらゆらと上手く掴めない、得体の知れない不安定さ、怖さ、そしてエロスと生命力が全編にあたたかく満ちている。あとがきが何気に泣けたし。過去こんなに選考委員大絶賛の受賞作あったのかなあ(否定されてた落選作3本も全員一致っぽくてそれも面白い)2016/06/24
法水
6
昨年度の岸田國士戯曲賞受賞作。昨年度の候補作はいくつか公開されていたので読んでいたけど、今回ようやく受賞作を読んだら他の作品との差は歴然で、選考委員のほとんどがこの戯曲を推したのも納得。庭劇団ペニノの公演は毎回、舞台美術に注目が集まるけど(先日鑑賞した『ダークマスター』も素晴らしかった)、タニノクロウさんの戯曲自体にも文学性があり、その世界観に引き込まれる。それにしても『地獄谷温泉~』、見逃したのが何とも悔やまれるなぁ。マメ山田さんがお元気なうちにぜひ再演を。2017/02/17
しゅん
5
庭劇団ペニノ主催タニノクロウの本年度岸田國士戯曲賞受賞作。人形遣いの親子(80代と50代)が富山の小さな温泉宿から手紙で公演の依頼を受けるが奇妙なことに宿の老婆には全く心当たりがない。謎が解けないまま二人は一泊することに。宿を囲む癖のある男たち・女たちとのやりとりは大事なことを隠しながら続き、ひたひたとした薄暗い予感だけが広がっていく…。湯気のようなぼんやりとした不安とエロスが丁寧な筆致で描かれてゆく様が美しい、戯曲として無類の完成度を誇る一作。舞台セットが突如回転していく場面は想像するだけで目眩がした。2016/07/07




