出版社内容情報
「よき王」ルイ16世はなぜ逃亡事件を起こしたのか?王の運命にとどまらず革命を変えたヴァレンヌ事件の真相に世界的権威が迫る
内容説明
ルイ16世とマリ=アントワネットはなぜ逃亡事件を起こしたのか?王の運命にとどまらず革命を変えたヴァレンヌ事件の真相に世界的権威が迫る。
目次
第1章 「陛下、お通しすることはできません」
第2章 フランス人の王
第3章 国王が逃亡する
第4章 われらが良き都市パリ
第5章 国民の父たち
第6章 地方における恐怖と弾圧
第7章 国王を裁く
第8章 その後の数ヶ月と数年間
結論―出来事の力
著者等紹介
松浦義弘[マツウラヨシヒロ]
1952年生まれ。東京大学大学院人文科学研究科博士課程満期退学。現在、成蹊大学名誉教授。専門はフランス近代史
正岡和恵[マサオカカズエ]
1954年生まれ。東京大学大学院人文科学研究科博士課程単位取得満期退学。現在、成蹊大学名誉教授。専門は英文学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
sayan
22
パリ「から」逃亡した。ルイ16世とその一家だ。逃亡した王を巡り市井の人々、貴族、軍人の声や王自身の「言い訳」を多数引用した本書はフランス革命後の群像劇で、ヴィヴィッドで疾走感ある展開は読者を全く飽きさせない。滲み出る生々しさは地位を殴り捨て人間の本音になる。フランス国王からフランス人の王になるも、逃亡は人民の巨大な感情を生みだし、恐怖政治を誘った。漫画ベル薔薇もフランス革命前夜が舞台と知る。かつて赴任した某国ではパリ「へ」逃亡した王族がいた。恩赦で帰国も求心力は地に落ち逃亡「しなかった」者が国政を担った。2024/03/03
さとうしん
15
フランス革命の展開に決定的な影響を与えたヴァレンヌ逃亡事件の経過と、関係者の述懐、諸派の議員たちや国民の反応、その後の展開を追う。逃亡の失敗により、国王に対する国民の敬愛や信頼が失われ、また国王の存在を前提としていた革命後の政治体制や憲法のあり方に疑念が突き付けられ、フランスは君主制から共和制へと向かうことになる。その様子も丁寧に描き出している。真に問うべきは国王がなぜ逃亡に失敗したかではなく、なぜあわや成功しそうになったかであるという視点が面白い。2024/08/29
サン・アラド・ルノー・ジェルジェンスキー
1
一読者としては、ルイ16世(とマリー・アントワネット)の株がひたすら下がり続ける一方で、微妙にブイエ将軍の株が上がった一冊だった。2025/03/16