出版社内容情報
「過去の克服」という言葉はドイツ連邦共和国初代大統領テオドーア・ホイスによってひろく知られることになったが、現在ではナチ・ドイツの暴力支配がもたらしたおぞましい帰結にたいする戦後ドイツのさまざまな取り組みを総称する際に用いられる。具体的には、ナチ不法の被害者にたいする補償、ナチ体制下の犯罪にたいする司法訴追、ネオナチの規制、現代史重視の歴史教育といった政策・制度面での実践と、これらを支える精神的、文化的活動の総体を意味するものである。
戦後ドイツはナチズムの過去とどのように取り組んできたのか。本書は、近隣諸国やイスラエル、東ドイツとの関係なども視野に収めながら、敗戦直後から現在にいたるまで概ね時系列にそって描き出していく。
その取り組みは順調なものではなく、過去にたいする反省を「自虐的だ」とする声がドイツでも再三沸き上がり、道のりは必ずしも平坦ではなかった。しかしドイツでは、「過去の克服」を促す力と、これを押しとどめようとするふたつの力がせめぎ合いながらも、少しずつ着実に前進していくことが本書のなかで明らかとなる。日本の取り組みを考えるうえでも必読の1冊。
内容説明
克服されるべき「過去」と、過ぎ去ろうとしない「過去」。戦後ドイツの歩みを考える。
目次
プロローグ 「過去の克服」とはなにか
第1章 克服されるべき「過去」―人種主義・戦争・ホロコースト・強制労働
第2章 連合軍占領下のドイツ―一九四〇年代後半
第3章 「過去」との和解、西側との和解、そして国民相互の和解―一九五〇年代
第4章 よみがえるナチ時代の影―一九六〇年代前半
第5章 ヒトラーの敗退、ブラントの登場―一九六〇年代後半~七〇年代後半
第6章 過ぎ去ろうとしない「過去」―一九七〇年代後半~八〇年代後半
第7章 「過去の克服」のゆくえ―ドイツ統一以後
エピローグ 現代ヨーロッパの「過去の克服」
著者等紹介
石田勇治[イシダユウジ]
東京大学名誉教授、ドイツ近現代史専攻(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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