出版社内容情報
植民地化の対立概念である「脱植民地化(decolonization)」について国や地域を超えて総括的に論じたはじめての基本書
内容説明
脱植民地化は、18世紀末のアメリカ独立革命とハイチ独立に始まり新世界を席捲した第一波から、20世紀末のソ連解体によって引き起こされた第四波にいたるまで、複数回にわたって起きてきた。本書は、第二次世界大戦後のアジア・アフリカ全域で生じた第三波を、こうした長期の歴史に位置づける。また、世界各地の事例を比較検討することで、脱植民地化という現象の特徴を浮き彫りにし、今日にも繋がるさまざまな暴力の源をグローバルな視点から問いなおす。
目次
第1章 脱植民地化の複数の波
第2章 グローバルな戦争が植民地にもたらしたこと
第3章 無秩序化し、再秩序化する世界
第4章 国民国家という問題
第5章 帝国の継続、忘却の政治
著者等紹介
ケネディ,デイン[ケネディ,デイン] [Kennedy,Dane]
1951年生まれ、アメリカの歴史家。1981年、カリフォルニア大学バークレー校で博士号を取得。現在、ジョージ・ワシントン大学歴史学部名誉教授。これまで、アフリカの諸地域を主要な対象としてイギリス帝国史の研究に従事
長田紀之[オサダノリユキ]
1980年、東京都生まれ。東京大学大学院人文社会系研究科で博士号取得。現在、ジェトロ・アジア経済研究所研究員。専門は、ミャンマー史、東南アジア史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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遊動する旧石器人
3
2023年10月10日発行。脱植民地化decolonizationは、考古学の分野でもトピックとして挙げられるワードであり、それが気になって手にした1冊。本書に依ると、脱植民地化は複数回生じており、現在もその過程の1つである。ただ、その過程を鑑みると、いずれにおいても帝国側の傲慢な態度が露骨に見える。結局、21世紀になってもなお脱植民化の過程内であることは、曲がりなりにも帝国が残存していることに帰する。従って、帝国・暴力・国民国家という概念-パラダイムが変換しない限り、次の時代の展望は拓けないだろう。2024/02/22
中桐 伴行
0
また勉強会のために読んだ本。これはすごく勉強になった。教科書を読んでいるようで、情報量が多くて「ここがよかった」と絞り込めないが、植民地から独立というのがいかに難しいのかが分かったような気がする。どこかで読んだが、植民地という概念はその住民が民族主義的な考えを持つことによって「植民地化されている」ことを認識するそうだ。なるほど。民族主義的な考えがなければ、他国という考えも出てこないし、新しい支配者になったという考えに落ち着くだろう。(続)2024/11/27