ロレンスがいたアラビア〈上〉

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  • サイズ B6判/ページ数 403p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784560092439
  • NDC分類 289.3
  • Cコード C0022

出版社内容情報

アラブ世界を舞台に暗躍した4人の諜報員の動きを追い、ロレンスを欧州とアラブの同時代人たちの中に位置づけた歴史大作!ロレンスはいかにして「アラビアのロレンス」になったのか?
 死後70年以上経った今日なお、トーマス・エドワード・ロレンスは20世紀のもっとも謎に満ちた、毀誉褒貶相半ばする人物の1人であろう。本書はロレンスの評伝だが、けっして「聖人伝」ではない。第一次世界大戦中、ロレンスをはじめアラブ世界を舞台に暗躍した4人のスパイと彼らを取り巻く人間模様から、ヨーロッパ列強が中東という壺の中に手を突っ込んでかき回すさまを描いた歴史ノンフィクションである。
 ロレンスほど有名ではないが、本書で重要な役割を果たす3人とは、表向きは大学講師だが、英国を欺くためオスマン帝国と共謀し、愛人のロシア系ユダヤ人医師を諜報活動に利用していたドイツのスパイ、K・プリューファー。ルーマニア系ユダヤ人の農学者で、オスマン帝国統治下のパレスチナで祖国建設のために奔走するシオニスト、A・アーロンソン。そして米東海岸の名門の出で、大手石油会社の調査員から米国務省の情報員に転身したW・イェールである。
 戦況によってめまぐるしく変わる彼らの立ち位置を丁寧に追い、今日の中東紛争の淵源となった時代を躍動感あふれる筆致で描いた注目の歴史大作!

スコット・アンダーソン[アンダーソン]
アメリカのジャーナリスト、小説家。アメリカ農務省の技官だった父親の仕事の関係で、台湾と韓国で育つ。長年にわたり、レバノン、イスラエル、エジプト、北アイルランド、チェチェン、スーダン、ボスニア、エルサルバドルなど、世界の紛争地を取材してきた。The New York Times Magazineのほか、Vanity FairやHarper’s Magazine、Outsideなどに寄稿している。ニューヨーク在住。主要著書 小説:Triage (1999)、Moonlight Hotel (2006) ノンフィクション:Inside the League(with Jon Lee Anderson, 邦訳『インサイド・ザ・リーグ――世界をおおうテロ・ネットワーク』社会思想社、1987年)、War Zones (1988, with Jon Lee Anderson)、The 4 O'Clock Murders (1992)、The Man Who Tried to Save the World (2000)、Lawrence in Arabia(2013、《全米批評家協会賞》最終候補作)

山村 宜子[ヤマムラ ヨシコ]
翻訳家。1946年生まれ。国際基督教大学卒業。訳書にナイジェル・クリフ『ヴァスコ・ダ・ガマの「聖戦」』(白水社)、マーティン・セリグマン『オプティミストはなぜ成功するか』(講談社)、アーサー・アッシュ『静かな闘い』、キャサリン・モーリス『わが子よ、声を聞かせて』(以上、日本放送出版協会)、アーサー・カリンドロ『あなたの人生を変えるシンプルな10のステップ』(ダイヤモンド社)、セーラ・バークリー『ジェイミー』、ボニー・アンジェロ『ファーストマザーズ』、ローレンス シャインバーグ『矛盾だらけの禅』(以上、清流出版)、マーガレット・ロック『更年期』(みすず書房、共訳)などがある。

内容説明

アラブ世界をめぐって渦巻く欺瞞、密約、だまし討ち。T・E・ロレンスとは何者だったのか?第一次世界大戦中、アラブ世界を舞台に暗躍した四人のスパイの一人としてロレンスを位置づけ、英、仏、独、露、米、オスマン帝国の思惑とアラブ側の反応を重ね合わせて、中東がかたち作られていく過程を重層的に描いた歴史ノンフィクション!“全米批評家協会賞”最終候補作。

目次

第1部(聖地の「プレイボーイたち」;変わり種;別のところ、別のいいもの;最後の一〇〇万まで;あきれた混乱;秘密を守る人たち;背信)
第2部(戦いを交える;キングメーカーになる男;無の中に収まって;欺瞞の霧)

著者等紹介

アンダーソン,スコット[アンダーソン,スコット] [Anderson,Scott]
アメリカのジャーナリスト、小説家。長年にわたり、レバノン、イスラエル、エジプト、北アイルランド、チェチェン、ボスニア、スーダン、エルサルバドルなど、世界の紛争地を取材してきた。The New York Times Magazineのほか、Vanity FairやHarper’s Magazine、Outsideなどに寄稿している。ニューヨーク在住。『ロレンスがいたアラビア』Lawrence in Arabia(2013)は“全米批評家協会賞”最終候補となった

山村宜子[ヤマムラヨシコ]
翻訳家。国際基督教大学卒業(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

星落秋風五丈原

38
映画があまりにも有名になってしまい、ロレンスのイメージが独り歩きしてしまっている感もある。では彼はどんな人だったのか? ロレンスのみでなく、同時代にアラブ世界を舞台に暗躍した4人のスパイの活動と、石油利権と領土を巡ってアラブを我がものにせんと企む帝国の歴史を綴ったノンフィクションだ。イェールを除いて元は皆学究肌だった事は興味深い。政治や商売の世界から離れていたから、理想に殉じることができたのか。残念なのは一か所写真のキャプションが入れ替わっている所だ。再版の時には差し替えを希望する。2016/10/29

ああああ

10
一次大戦の当時、自分の才覚を頼りに活躍した若者たち4人の物語を中心に語られる歴史。風が吹けば桶屋が儲かる、あいつを煽ればあいつがしくじる、革命が起きれば権益が確保できる。国際政治の裏側を縫い合わせ照合していく話のまあスリリングなこと。ぼんやりとした世界史の知識がアラビアのロレンスたちから結びついていくのも楽しい。セオドアローズヴェルトも、ロイドジョージも、ケマルアタトゥルクでさえも、ここでは端役なのだ。2017/02/09

8
『オスマン帝国の崩壊』の同時代にアラビア半島で活躍したロレンス他3名の若者の物語。オスマン帝国を倒すべき対象として描かれているので、『オスマン帝国の崩壊』を読んでイギリスの横暴に憤慨した自分としては妙な感覚だったけど、サイドストーリー的に読むことも出来て、その点、興味深く読み進むことが出来た。歴史には常に複数の視点があるということなのだろう。内容的には冒険談に近いので読んでいて楽しい。下巻からは更にロレンスが活躍していくのだろう。楽しみだ。2019/08/30

人生ゴルディアス

7
アラビアのロレンスの本でありつつ、軸は四本。ロレンス、ドイツ通訳、スタンダードオイルマン、シオニスト。WW1は不勉強なのでよたよたしながらの読書。石油に関する大著『石油の世紀』と『探求』を読んで中東はばっちりだぜ、なんて思ってたけど全然わかんない……。しかし、乱世における階段すっ飛ばし出世の典型例がロレンスに見れて面白い。誰も意図してロレンスを表舞台に向けて押し出したわけではなく、星のめぐりだったんだろうな。しかし、サイクス・ピコ協定って名前だけ変だから覚えてたけど、こんな内容のくそ協定だったのか…2017/01/17

田中峰和

5
中東地区での第一次世界大戦の実態がよくわかる本。軍事訓練を一切受けないで大尉にまで昇進したロレンスは160センチ程度の小柄、地理や歴史を研究する学究肌の人物だった。オスマントルコで暗躍するドイツ人諜報員、独立を目指すアラブ人、英仏の駆け引きなど、読むにつれワクワクする。戦前戦中を通して情報戦、密約やだまし討ちが繰り広げられる。サイクスとピコの密約は、その後の中東の混迷を生んだが、イスラエル建国に繋がったのも事実。怠惰で臆病なアラブ人を組織し、苦労するロレンス。アラブ世界理解のためには欠かせない好著だ。2017/01/25

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