内容説明
1945年、首都の陥落前後、ある女性ジャーナリストが身近な惨状を赤裸々につづっていた。生と死、空襲と飢餓、略奪と陵辱…身を護るため赤軍の「愛人」となった女子は生き延びられるのか?戦争被害と加害の実態を、女性の目から、市民の目から描いた一級資料!類を見ない戦争日記である。
著者等紹介
山本浩司[ヤマモトヒロシ]
1965年大阪生まれ。早稲田大学大学院博士後期課程中退。早稲田大学文学部准教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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駄目男
14
あらゆる本を読んでいてレイプほど汚辱に満ち卑劣な行為はない。私としては避けて通りたい分野だが、レイプ・オブ・南京だとかレイプ・オブ・ベルリンという単語はよく見かける。ドイツの終戦間際、ベルリンで何が起きたかは想像に難くない。独ソ戦で、ソ連の奥深くまで侵入したドイツ国防軍や武装SSが、何をしたのかというおぞましい記憶がロシア兵に刻印されている限り、当然、起こりうるべくして起こったことといえる。なにしろ独ソ戦のロシア人の犠牲者は2000万というから驚く。著者は34歳の女性ジャーナリスト、出だしは4月20日、2023/09/26
スゲ子
5
終戦直後のベルリン、ロシア兵による性暴力の嵐が吹き荒れる中を生きたある女性の日記。久々に会えた友達に開口一番「ねえあなた何回やられた?」と聞くような(この後の会話がまたインパクト強)陵辱されてない方が珍しい、ぐらいの状況。そんな中女性たちは会えばお互いの体験を語り合い、なんならジョークにして笑いあう。そうやって心を守ろうとしている。日記の作者は家族のいない独身女性。冷徹な観察眼とドライなユーモア、片言のロシア語でこの状況を生き抜こうとする。一級の歴史資料であり、ひとりの女性のサバイバルの記録。2024/02/02
ぷるぷる
2
終戦期のベルリンが暴力、破壊、凌辱で満たされていたとしても不思議ではない。初版時はレイプ被害ばかりを取り上げられたそうですが、現在では戦争の悲惨さよりも冷静に周りをと自分を観察した記録として残っていることの方が驚異的で畏怖の対象だと思います。常識、道徳、信仰、良心、性差といった価値観が一気に壊れていく様を見ているわけでその変化の大きさは恐ろしく不快の一方で過去の権威が崩壊の様が驚嘆だったりもします。ちょっと出来すぎな感じもしますが、前書きによるとその三文芝居ぶりも戦争ということで、逆に怖さが増してきます。2019/08/05
うどん
2
愛人という程上等ではないし、娼婦というのも違う。生きるための手段でしかなく、それを的確に指す単語は無いと思う。同姓の友人と再会した際に「あなたは何回?」なんてジョークのように話題になってしまうなんて、そこまで当たり前になってしまっていたのか…2016/09/28
Gama
2
最後まで行ったベルリンの凄まじい記録。
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