出版社内容情報
神学者の深い学識と真摯な気持ちの結果が、なぜ文化的な発展を阻害したとされるに至ったのか。現代への警告ともなる、検閲の歴史。
内容説明
知識と文化への迫害か、「フェイクニュース」の抑制か。神学者の深い学識と真摯な気持ちの結果が、なぜ文化的な発展を阻害したとされるに至ったのか。現代への警告ともなる、検閲の歴史。
目次
第1部(禁書目録以前の検閲;禁書目録の誕生;禁書目録の発展;書籍の検閲方法)
第2部(聖書を検閲する;魔術と科学を検閲する;性、信仰、芸術を検閲する;検閲と近代化)
著者等紹介
ヴォウズ,ロビン[ヴォウズ,ロビン] [Vose,Robin]
カナダ生まれ、聖トマス大学歴史学教授。モロッコやスペイン探検における「ナショナルジオグラフィック」誌のエキスパート。主要研究分野は中世から近世にかけての宗教史で、十字軍、異端審問、宣教師、コロニアリズムなど文化対立に注目している
標珠実[シメギタマミ]
ヨーロッパ中世史・中世キリスト教史専攻。早稲田大学文学研究科西洋史専修博士後期課程満期退学。翻訳家、順天堂大学他非常勤講師(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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trazom
99
神学教義の標準化に向けて、あの悪名高い「禁書目録」を作成し続けたカトリック教会の歴史が詳細に描かれる。検閲の対象は、聖書の解釈などの教義に始まり、後には、科学、文学、芸術にまで拡大し、それらを掲載してゆく膨大な作業は、正に、シーシュポスの岩である。社会に情報が氾濫する今日だが、一定の監視機能が必要であることを口実として、権威主義的な検閲が導入されることの不条理を実感する物語であった。「禁書目録」というネガティブ・リストではなく、「推奨図書目録」というポジティブ・リストをみんなで共有する社会でありたい。2025/06/10
くり坊
5
恥ずかしながら本書に出会うまで「禁書目録」なるものが中世ヨーロッパ全域に、それぞれの「お国事情」を加味しながら存在していたことを存じ上げませんでした。そういった意味で「目からウロコ」の1冊でした。今日でも、カトリックの司祭などが、信徒の集まりなどで「~という本は、我々は読む必要はありません」と釘を刺したりするのは、その「名残り」でありましょうか…とても興味深く拝読させて頂きました。2025/05/15
takao
2
ふむ2025/04/26
JF1RLN
2
素晴らしい。この分野に疎かったこともあって大変興味深く読み終えました。キリスト教史的なところもあり勉強になったのと、この著者さんの知識の深さには感服するしかないです。あと、訳者さんのあとがきも大変良かったです。ただ、最後の方で「日本のアニメに『とある魔術の禁書目録』ってあるけどそれで禁書って目にするかも」っていきなり出てきたのちょっと意外でした。こんな固い本なのに。2024/12/21
moggadeet
2
あとがきによれば「「禁書目録」そのものに焦点をあて、その歴史を包括的に扱った初の概説書」とのこと。禁書目録の起源と教皇庁が主体的に関わって編集を始めるその変遷、異端審問制度との関係、目録をめぐるカトリック内での権力闘争、もちろんプロテスタントとの対立、神学以外の分野における禁書(禁令)、禁書目録制度の終焉とその後の教会による検閲など、2024/10/23