エクス・リブリス<br> 真の人間になる〈下〉

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エクス・リブリス
真の人間になる〈下〉

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  • サイズ 46判/ページ数 256p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784560090879
  • NDC分類 923.7
  • Cコード C0097

出版社内容情報

1945年9月、日本人も犠牲となった「三叉山事件」をモチーフに、ブヌン族の少年ハルムトの成長を描いた感動の大作。

上巻では、終戦前後の混乱した状況下で「三叉山事件」が起こるまでが描かれる。

台湾原住民族のブヌン族の少年・ハルムトとハイヌナンは、子供のころから野球が好きで、アミ族のコーチ、サウマが率いる野球チームに入る。1941年春、霧鹿部落を離れ、花蓮港中学に進学した二人の目標は甲子園に行くこと。内地人(日本人)、本島人、ブヌン族の彼らによる混合チームのなかで、厳しい練習に耐え、地区の予選を勝ち抜いて、春の甲子園選抜大会への出場権を手にする。だがそのあと真珠湾攻撃が起こり、野球どころではなくなってしまう。

ハルムトは、日本人が営む料理屋で働きながら学校に行き、ハイヌナンはその隣の旅館で働くことに。ハルムトは学校や仕事場で日本人、漢人、他の原住民族の学生たちと接する中で、ブヌン族としての自覚を強くし、ハイヌナンに友情以上の思いを抱くようになる。料理屋の常連には樋口隊長や巡査もいて、特攻隊の任務につく日本人の話を聞きながらハルムトは戦争への嫌悪感を強めていく。

1945年夏、中学を卒業したばかりの学生たちに召集令状が届き、ハイヌナンも特攻隊として出陣することが決まる。その直後に花蓮の町はアメリカ軍による空襲に遭い……。

下巻は「三叉山事件」が実際に起こってからの出来事が中心に描かれる。

第二次世界大戦が終結して間もない1945年9月10日、米軍の輸送機が捕虜を乗せて沖縄からフィリピンのマニラへ向かっていた。台湾上空を飛行中、台風に襲われ、台東に位置する三叉山の付近に墜落。この霧鹿部落出身で山に詳しいハルムトは、駐在所の城戸所長から捜索を頼まれるが、そこはハイヌナンとの思い出が詰まった場所であり、事故現場に行く気持ちになれずにいた。悩んだ末、ハルムトは捜索隊に加わり、案内役を務め、三平隊長、城戸所長らと山の中に入っていく。ハルムトは一人で渓流を渡っているときに負傷したアメリカ兵のトーマスを偶然発見するが……。

ブヌン族の歴史を背負いながら、日本統治下の多民族多言語の世界で青春時代を過ごしたハルムトは、戦争による心の傷を抱えながら、多くの人たちの影響を受けて成長していく。終戦前後の台湾社会を原住民の視点から描いた作品の中で、これほど日本人との関わりを細やかに書き込んだものは他にない。三叉山事件で犠牲になった城戸八十八は「城戸所長」として本書に実名で登場している。

台湾の美しい自然を背景に、その土地で生きてきた人々の歴史と記憶を神話的な物語としてハルムトに語る祖父の言葉が全篇に散りばめられ、ハルムトを導いていく。祖父の物語からはブヌン族の心が、野球のコーチのサウマの物語からはアミ族の心が、料理屋の雄日さんや駐在所の城戸所長の物語からは日本人の心が、ハルムトの心の中に注ぎ込まれていく。

物語作家としての真骨頂が発揮された、後世に残る名作。

内容説明

戦争で愛する人を失くした悲しみは消えることはない。大切な人の命を引き継ぐとは、彼らの生きた歴史を語り継ぐこと。ミホミサン(mihumisang)。もう一度再会できるように―その日が来るまで僕はちゃんと生きていく。歴史・民族の遺恨を超えた祈り。

著者等紹介

甘耀明[カンヤオミン]
1972年、台湾・苗栗県生まれ、客家出身。台中の東海大学中文系在学中に小説を書き始め、卒業後は苗栗の地方新聞の記者などをしながら小説を書きためていた。2002年「神秘列車」で寶島文学賞審査員賞、「伯公討妾」で聯合報短篇小説審査員賞を受賞するなど、6篇が文学賞を続けて受賞。03年、初の短篇小説集『神秘列車』を刊行。02年、東華大学大学院に進学し修士号を取得。その後の活躍はめざましく、05年、中短篇小説集『水鬼學校和失去媽媽的水獺』で「中国時報」年間ベストテン賞、中篇小説「匪神」で呉濁流文学賞、06年「香豬」で林栄三文学賞受賞。09年、長篇小説『殺鬼』で「中国時報」年間ベストテン賞、台北国際ブックフェア大賞などを受賞し、”新十年世代第一人”の代表作と高く評価された。15年、『邦査女弦』を刊行、金典賞などを受賞。21年、『成為真正的人(minBumin)』(本書)を刊行、金鼎賞、聯合報文学大賞、台北国際ブックフェア大賞、Openbook好奇賞、紅楼夢賞最優秀賞を受賞し、大きな注目を集めた。第44回台湾文化部小中学校推解図書にも選ばれた

白水紀子[シロウズノリコ]
1953年、福岡県生まれ。東京大学大学院人文科学研究科中国文学専攻修了。専門は中国近現代文学、台湾現代文学、ジェンダー研究。横浜国立大学教授を経て、横浜国立大学名誉教授、放送大学客員教授。北京日本学研究センター主任教授、台湾大学客員教授を歴任(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

榊原 香織

63
上下巻の下 読み応えたっぷり。 台湾の、客家ルーツ作家。日本の香りがする台湾の話が多く、どれも面白い。 日本のことホントに良く調べてある。 戦後すぐの三叉山事件、というのが元ネタの一つ。全然知らない事件だった。2024/02/06

ヘラジカ

42
人間と自然、その美しさと暴力性を並外れた筆力によって描き切った台湾文学の傑作。友情から微かに変化していく恋情、抑えられた哀しみや怒りの感情が、驚くべき繊細さで表現されており、時にハルムトの内奥を追いかけるのは非常に困難にも感じる。しかし、それこそが不可視の”真の人間性”というものなのだとか思わせる凄みがあった。上巻と下巻、共にラストは圧巻である。勿論、あの湖面での描写もとても美しい。読み終えた直後は暫し呆然となった。まだ読んでいない邦訳された作品が一冊あるが、間違いなく作者の最高傑作だろう。2023/08/07

本の蟲

15
終戦間もない台湾の高山に、日本の捕虜になっていた兵士を帰国のため乗せていた米軍輸送機が墜落。野球の夢を絶たれ、故郷の村に帰っていたハルムトは捜索隊に加わるが…。モデルになった史実(三叉山事件)を知らなかったため「なんちゅー終わり方するんじゃ」と驚愕。捜索隊の面々、日本人の、漢族の、様々な原住民族の葛藤と想い。アメリカ兵生存者とハルムトの噛み合わない会話は、それぞれの人生における喜びと悲哀を感じさせる。山の情景とブヌン族の神話の数々は、自然と人との調和を。そしてラスト。全てを押し流す大自然の無常に涙した2023/09/07

Ayako H

8
図書館から。下巻の方が面白かった。野球ばっかりしているハルムトが少し成長して墜落した飛行機の捜索に参加する。これが実際にあった事件で、小説で扱ったのは初めてというのは後書き情報。気持ちの表現の仕方が今まで読んだことのないタイプなのは台湾の作家だからでしょうか。ハルムトは真の人間になれたのでしょうか。面白かった!2023/11/20

ぱせり

5
ハルムトが語る、半分に割れたクルミの殻の話が、ずっと心に残っている。思えば、ハルムトは、半分に割れたクルミの片方のようだ。残りの半分は、双子の兄であり、親友のハイヌナンだ。クルミの中の小さな一匹のキツネが語り始めた、と感じている。私はそれを聞いているのだ。キツネの声は、風の音になる。山の木々を揺らす風の音に。2024/12/20

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