エクス・リブリス
恥さらし

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  • サイズ 46判/ページ数 260p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784560090657
  • NDC分類 963
  • Cコード C0097

出版社内容情報

人生の葬り去りたい記憶の瞬き

 1990年代から現在までのチリを舞台に、社会の片隅で生きる女性や子どもの思いと現実をまばゆく描き出す9つの物語。
「恥さらし」9歳のシモーナは、失業中の父と幼い妹とともに面接会場に向かう。会場に着くと、意外な展開が待ち受けていた。
「タルカワーノ」軍港のある寂れた地方都市タルカワーノに暮らす「僕」は、ザ・スミスに憧れて、近所に住む兄弟とバンドを組む計画を立てる。楽器を教会から盗もうと企んだ彼らは、日本古来のニンジュツの修行を始める。
「アメリカン・スピリッツ」3年前、ファミレスのフライデーズでアルバイト仲間だったドロシーに呼び出された語り手が、彼女から意外な告白を聞く。実は、ドロシーはある事件の張本人だった。
「よかったね、わたし」首都サンティアゴのショッピングモール内の図書館で働く孤独な女性デニス。しつけの厳しい家庭に育ち、成績優秀だが友だちのいない少女ニコル。2人のヒロインの人生が交互に展開する。
 2015年度チリ芸術批評家協会賞、2016年度サンティアゴ市文学賞を受賞、チリの新星による鮮烈なデビュー短篇集。

内容説明

1990年代から現在までのチリを舞台に、社会の片隅で生きる女性や子どもの思いと現実をまばゆく描き出す9つの物語。チリの新星による鮮烈なデビュー短篇集!人生の葬り去りたい記憶の瞬き。2015年度チリ芸術批評家協会賞、2016年度サンティアゴ市文学賞受賞作。

著者等紹介

フローレス,パウリーナ[フローレス,パウリーナ] [Flores,Paulina]
1988年、サンティアゴ生まれ。チリ大学卒業後、高校で教えながら小説を書き始める。2011年、「本と読書推進のための国家基金」より奨学金を獲得。2014年、短篇小説「恥さらし」でロベルト・ボラーニョ短篇小説賞を受賞。2015年、同作品を収録した短篇集『恥さらし』を刊行、同年のチリ芸術批評家協会賞と翌2016年のサンティアゴ市文学賞を受賞。デビュー作となる『恥さらし』は、スペインを代表する新聞「エル・パイス」紙の2016年度小説ベスト10の8位に選出され、スペイン語圏全域でその名が知られるようになった

松本健二[マツモトケンジ]
1968年生まれ。大阪大学言語文化研究科准教授。ラテンアメリカ文学研究者(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

buchipanda3

113
チリ人女性作家による現代小説短編集。子供の目線、女性の目線が捉えた様々な日常の有りようが描かれていた。父親の失業などが日々の形を変えてしまう。そこから垣間見えるそれぞれの恥じらい。その身の置きどころのない戸惑いが人間味を曝け出していた。馴染みのないチリだが、物語から人々の生真面目な気質を感じた。その分、挫折を受けると落ち込みが大きくてダメな父親になってしまうのか。一方で女性や子供は逆境にあっても存在感を見せる。少年の心の揺らぎを描いたものや女性が自らの不完全な内面を研ぎ澄まして見つめた話が印象に残った。2021/04/16

ヘラジカ

67
チリ文学。恥辱、挫折、後悔。抗うことのできない壁や、最善がない選択肢に直面した敗残者たち、またはその家族による失敗の記憶。頭に空白が生まれたとき、ふとした瞬間にどこからともなく滲み出て来る、悔恨の思い出のような作品集。読んでいて決して楽しい小説ではないのだが、何故か自分のリズムにすっと同調するような感覚がある。それは自らの中にも埋没させてしまった似たような物語があるからかもしれない。共鳴するといったら良いだろうか。収録作の中では「フレディを忘れる」「最後の休暇」がとても良かった。2021/01/05

ちょき

34
ラテンアメリカ発、心の置き場が難しい短編集、海外文学の良作というものは得てしてだいたいこんな感じで、一見なんでもないようなエピソードを文学的な表現で包み込み、読み手の想像力を掻き立てるのだ。素朴でありながら一筋縄ではいかない、そんな感じ。どの話にも、背景にあるのは、貧困、失業、といった社会。2021/04/04

かもめ通信

32
「あのころのわたしは、滑稽なほど世界を相手に胸を張り、世界を打ち負かして無傷でいられると信じていた」(「ナナおばさん」)そんな若さが痛々しくもまぶしくもあるチリの作家のデビュー短篇集。貧困や格差という社会のひずみ、働く女性の苦難、母と娘の関係など、地球の裏側にもやはり、同じような問題が存在し、同じように閉塞感を抱えて生きている人たちがいるという現実を、読み手につきつけるような物語たちは、それだけに生々しさが強烈で、読み手によって好き嫌いがはっきり分かれそうでもあるが私はこれ読後に残る余韻を含めとても好き。2021/03/17

愛玉子

26
「あのころのわたしは、滑稽なほど世界を相手に胸を張り、世界を打ち負かして無傷でいられると信じていた」『ナナおばさん』のこの一文が好きだ。表題作『恥さらし』は、固有名詞を変えてしまえばどこの国といっても通用しそうな、どうにもいたたまれない短編。軍事政権の崩壊でマチスモが根底から揺るがされた国だからか、男たちの気配は総じて薄く、女同士のどこか張り詰めた空気が描かれている作品が多い。日常を切り取った体でありながら、故意に描かれていない部分もあり(読み飛ばしたかと思って戻る事数回)どこか浮遊感や不穏な印象を残す。2021/02/15

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