出版社内容情報
ヒューゴー賞受賞の表題作ほか、社会格差や高齢化、医療問題など、中国社会の様々な問題を反映した、中国SF作家初の短篇集。全7篇
内容説明
SFと詩的な視覚表現の融合。中国社会と現代都市の奇想天外な投影。ヒューゴー賞受賞「北京―折りたたみの都市」ほか、社会格差や高齢化、エネルギー資源、医療問題、都市生活者のストレスなど、中国社会を映しだす全7篇。
著者等紹介
〓景芳[ハオジンファン]
1984年、中国・天津生まれ。2006年に清華大学物理学科を卒業後、同大天体物理センターを経て同大経営学部で経済学の博士号を取得。高校在学中の2002年に30歳以下を対象とした「新概念作文大賽」で一等賞を受賞し頭角を現す。2006年からSF作品の執筆を始める。2007年、「祖母家的夏天(おばあちゃんの家の夏)」が銀河賞の読者ノミネート賞を受賞。博士課程は精華大学経済管理学院に学び、2013年に国際貿易研究で博士号を取得した。2014年に発表した「北京折りたたみの都市」は中国系アメリカ人作家のケン・リュウによって2015年に英訳され、2016年、ヒューゴー賞(中篇小説部門)を受賞した
及川茜[オイカワアカネ]
東京外国語大学大学院地域文化研究科博士後期課程単位取得退学。神田外語大学アジア言語学科講師(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Panzer Leader
69
ケン・リュウ編「現代中国SFアンソロジー」に収められていた「折りたたみ北京(北京 折りたたみの都市)」を含む中国SF女性作家の短編集。都市の変換とか音楽で宇宙エレベータを破壊するといったSF的設定を取っていながら、詩的な風景表現・人の心の機微を描いており、読み慣れた西洋SFとは一味違う作品が楽しめる。2021/06/30
チャーリブ
48
『流浪蒼穹』を読んで短編も読んでみたくなった。7篇の短編が収められている。最初の「北京 折りたたみの都市」はヒューゴー賞受賞作。北京という大都市それ自体を折りたたむというアイデア。3つの空間が24時間をシェアするように交代で折りたたまれていく。第一空間の住人はエリート層、第二空間は中間層、第三空間は貧民層。現実社会の暗喩としても読める。中国ではギリギリの体制批判かも。「弦の調べ」のようなセンチメンタルで高潔な文体がこの作家の魅力だが、全体としては物足りない感じ。「生死のはざま」は味わい深い。○2022/08/21
りつこ
47
面白かった。「北京―折りたたみの都市」アンソロジーのタイトルにもなっていたので気になっていたのだが抒情的なSF(あくまでも私の印象)でとても好みだった。格差社会をこのような形で見せられるとは読み終わってしばし茫然。一番好きだったのが「弦の調べ」と「繁華を慕って」。特に「弦の調べ」のクライマックスシーンの美しさ。都市が折りたたまれていく様子や宇宙に向かって弦の調べがどんどん大きくなっていくところ…ストーリーは忘れてもそのイメージは頭に残る気がする。「繁華を慕って」で意外な真相が明らかになる仕掛けもよかった。2019/07/21
山田太郎
34
女性なんだと後ろに写真あって案外お綺麗な感じがするなと。意外と読みやすいというか。年末ランキングいいところいくのかな、これ。中国でSF書くのはたいへんなのかと関係ないところを考える。おりたたむのはすごいよなと。2019/07/12
かわうそ
29
壮大なイメージを喚起する舞台設定のもと描かれるのは、経済格差や研究者の苦悩などの社会問題。最先端のSFという印象ではないし、別にSFじゃなくてもいいじゃんみたいな話もあって、これが中国SFの味なのかはわからないけどけっこう好みのタイプでした。2019/05/27
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