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青い野を歩く

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  • サイズ B6判/ページ数 225p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784560090060
  • NDC分類 933
  • Cコード C0097

内容説明

哀愁とユーモアに満ちた、「アイリッシュ・バラッド」の味わい。珠玉の8編を収めた傑作短篇集。

著者等紹介

キーガン,クレア[キーガン,クレア][Keegan,Claire]
1968年、アイルランド、ウィックロー県の農家に生まれる。高校卒業後、アメリカに渡り、ニューオーリンズのロヨラ大学で学ぶ。92年、母国に戻り、ウェールズ大学大学院、ダブリンのトリニティ・カレッジで学ぶ。短篇集Antarctica(1999)でデビューし、『ロサンゼルス・タイムズ』の年間最優秀図書に選ばれ、優れたアイルランド文学に授与されるウィリアム・トレヴァー賞、ルーニー賞など多数受賞、第二短篇集となる『青い野を歩く』(2007)も、オリーブ・クック賞、フランシス・マクマナス賞を受賞した

岩本正恵[イワモトマサエ]
1964年生まれ。東京外国語大学英米語学科卒。翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

buchipanda3

113
アイルランドの現代作家による短篇集。その語りに惹かれた。読み終えてももっと読みたいという気持ちに駆られた。決して心地よい物語ではない。描かれるのは古い風潮が残る田舎で暮らす人々。登場人物たちは断ち切れない思いや失望、孤独に苛まれる。人生には思うだけで実行できないことは山のようにあるのだ。その心残りがもたらす深く沈みこんだ憂いの気持ちが読み手に絡みつく。人ってやつは厄介なもの。それでもその無垢に模索する滑稽さこそが人間そのもの。その姿を自然の美と頑強さを添えながら愛おしさを持って著者は描き切っていたと思う。2022/11/12

紅はこべ

88
アイルランド文学というと、ジョイスのイメージが強いせいか、前衛的という感じがあったが、この短編集は静謐で端整だった。女は動き、男は留まる。「森番の娘」「長く苦しい死」が特に好き。ハインリヒ・ベルの家って実在するの?女性作家にしては珍しくスカトロ趣味っぽいところが…。これはジョイスの伝統かな。 2016/06/04

巨峰

68
きれいなタイトルや静謐な表紙の写真に比べると、冒頭の『別れの贈り物』からヒリヒリとした不穏な空気やら緊迫感のある短編がそろっている。内容のわかるものもあれば、なんだったんだろう?と思うものもある。お気に入りになった『ヴァレンタインズ』の岩本正恵さんの訳なわけで訳に問題があるというより、その土地の風習や風物に根差した物事が重要なカギであり、私にはなかなか理解するのが難しいのかもしれないな。例えばこの国の神父は妻帯が許されるのか?とか。そもそも現代の話ですよね?これ。『森番の娘』『青い野を歩く』が良かった2016/09/18

たま

62
2009年日本語訳出版のクレア・キーガンさんの短編集。最近作品が映画化されて話題になっているので読んでみた。アイルランドの地理にも歴史にも詳しくないが、「波打ち際で」以外の短編の舞台はみな荒涼とした地方で人々の暮らしは貧しく因襲的でみなが幻滅をかかえている。読んでいる読者も暗くなるが、短いが喚起力の強い文章の力がそんな人々の人生をぐいぐい読ませる。「別れの贈りもの」の少女はアメリカに行き、「波打ち際で」の青年のように内部にアイルランドという異物をかかえて生きるのだろう。そんなことを思った。2024/06/12

白玉あずき

61
アイルランドといえば厳格なカトリックというイメージなのに、これはびっくり。ヒロイン達の古い古い土着の神や大地母神を思わせるメンタリティ。表題作の主人公である神父さんの信仰も、これカトリックというよりアニミズムを思わせる違和感がある。土地に縛られる男から去って行く女。男の奉じる権威や宗教から離れ、自分の肉体性に忠実に生きる女。クレア・キーガン好きかも。アイルランドの野山、川の流れ、海の風、いいね。2022/08/14

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