出版社内容情報
語り手がさまざまな映画に言及し、映画に組み込まれ、映画を生きる……無意識や闇が銀幕に映写されるがごとき、特異な「映画小説」。
ぎいぎいと、軋む心の声を聞け
不況にあえぐアイルランドの田舎町で、ある男の他殺体が見つかり、ひとりの幼児が何者かに連れ去られる。殺人と誘拐という不穏な旋律に、後悔、怒り、嫉妬……人生の苦い思いを語る21人の「声」がポリフォニックに絡み合う、傑作長篇。
「ボビー」:おれは毎日、実家の父フランクを訪ねる。父が死んでいることを願って。そんな息子の心中を知る父は、鼻で笑っておれを迎え入れる。むかしからずっとそうだった。父の冷淡さに疲れ果て、愛する母は失意のうちに亡くなった。そしていま、職を失った息子を父は嘲笑っているだろう。家の門扉に設えられた鉄製のハートが、今日もぎいぎいと軋みながら回っている……。
作家はアイルランド出身で、雇用問題を専門に扱う弁護士として行政機関で働いていたが、3年間休職して執筆活動に入る。出版社に原稿を持ち込むものの、断られること47回。しかし、最終的に出版社の目に留まり、本書が刊行されるや、アイルランド最優秀図書賞、ガーディアン処女作賞を受賞、そしてブッカー賞候補にも選ばれ、昨年にはEU文学賞(12人の受賞者のうちのひとり)も受賞している。
【著者紹介】
1950年、米国カリフォルニア州生まれ。作家。『彷徨う日々』『ルビコン・ビーチ』『黒い時計の旅』『リープ・イヤー』『Xのアーチ』『アムニジアスコープ』『真夜中に海がやってきた』『エクスタシーの湖』『きみを夢みて』などの邦訳があり、数多の愛読者から熱狂的な支持を受けている。大学で映画論を修め、『LAウィークリー』や『ロサンゼルス・マガジン』で映画評を担当し、映画との関わりは長くて深い。本作は俳優のジェームズ・フランコの監督・主演で映画化が進行している。
内容説明
「映画自閉症」の青年ヴィカーは、映画『陽のあたる場所』のモンゴメリー・クリフトとエリザベス・テイラーを、自分のスキンヘッドに刺青している。フィルム編集の才能が買われ、ハリウッドで監督作品を撮ることになるが…。『裁かるゝジャンヌ』、『めまい』、『ロング・グッドバイ』…映画と現実が錯綜する傑作長篇!
著者等紹介
エリクソン,スティーヴ[エリクソン,スティーヴ] [Erickson,Steve]
1950年、米国カリフォルニア州生まれ。作家。大学で映画論を修め、『LAウィークリー』や『ロサンゼルス・マガジン』で映画評を担当し、映画との関わりは長くて深い
柴田元幸[シバタモトユキ]
1954年生まれ。米文学者・東京大学特任教授・翻訳家。『生半可な學者』で講談社エッセイ賞、『アメリカン・ナルシス』でサントリー学芸賞、『メイスン&ディクスン』で日本翻訳文化賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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