出版社内容情報
豪雪対策、小屋作り、熊狩、薬草採取、笠木取り等に生きた山の民の生態を柳田國男賞受賞者が克明に描き出す稀有な記録。図版300枚
山の民の詳細な生態誌
名峰白山は日本豪雪地帯の最南縁に当たり、五メートルの積雪も稀ではない。本書はこの白山麓の山間地、石川県白峰村(現白山市白峰)でかつて「出作り」を営んでいた山人の生活と生業を克明に記録する生態誌である。
集落を離れて山奥に一軒家を建て、焼畑を拓いて営農する。冬季も山中に留まる「永住出作り」の場合には、過酷な雪との闘いもある。また焼畑による雑穀や野菜だけでは生活できないので、奥山人は現金収入の道をも探らざるをえない。著者は古老を一人ひとり訪ねて、熊狩り・養蚕・笠木採り・ワサビ作り・薬草採取・ボッカ等の多様な生業実態を聞き出してゆく。その各々が実に詳細にわたり興味が尽きない。例えば熊狩りに関しても、その猟法や個々の猟場の見極め方ばかりでなく、獲物の分配の仕方、狩猟儀礼、熊皮・熊の胆の値段の変遷等に及び、その徹底ぶりには眼を見張るものがある。
名著『白山麓の焼畑農耕』で柳田國男賞を受賞した著者が二十余年の歳月をかけて、膨大な写真・地図・統計表・古文書をも駆使しつつ、これまで記録されてこなかった山の民の生態を明らかにする稀有かつ貴重な研究。
【著者紹介】
『白山麓の焼畑農耕 その民俗学的生態誌』で第34回柳田國男賞受賞。石川県立歴史博物館運営審議会審議委員。白山自然保護研究会会員。
内容説明
白山麓最奥の豪雪地において、一軒家の「出作り」を営む山の民の詳細な生態誌。柳田國男賞受賞者が20余年の歳月をかけて稀有な暮らしを記録する。
目次
序章 奥山人と出作り
第1章 奥山人の生活様式「出作り」とは
第2章 糧・稼ぎのため奥山に入る
第3章 豪雪山中の一軒家出作りの特色―出作り住居と小屋場の実態
第4章 稼ぎのため岳・谷・岩場に分け入る―多様な生業複合の実態
第5章 四季の暮らし
著者等紹介
橘礼吉[タチバナレイキチ]
1931年生。1953年、金沢大学教育学部卒。金沢市立工業高等学校教諭、石川県立歴史博物館副館長などを経て、現在、加能民俗の会名誉会長、石川県立歴史博物館運営審議会審議員、白山自然保護研究会会員。『白山麓の焼畑農耕―その民俗学的生態誌』(平成7年、白水社)で第三四回柳田國男賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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