出版社内容情報
本とは手書き写本であったヨーロッパに印刷された本が生まれたことで、人々の暮らしや政治・宗教・経済・文学はどう変わったのか。
印刷本の誕生は西欧世界をどう変えたか
本とは手書き写本であったヨーロッパで、十五世紀半ばに印刷本が生まれた時、社会はどう変わっていったのか。本書は印刷術の誕生から発展・定着にいたる二百年あまりの歴史を、具体的な数字やエピソード満載で描く。斬新な初期近代メディア文化史であると同時に、政治・文学・科学・芸術・経済を重層的にとらえることができる一冊である。
そこでは、ひと握りの成功者から、落ちぶれて破産し、また異端として告発された者まで、本に命を賭けた人々の人生劇が繰り広げられる。一方で、十六世紀初頭と末との学者の蔵書数の変遷を分析するかと思えば、書籍の流通・販売経路を再構成してみせる章もあり、さらに著者と印刷業者との駆け引き・禁書や出版権をめぐる当局との攻防など、当時の本がどのように生まれ消費されていったかを、詳細に知ることができる。印刷本はコルテスやピサロの軍の蛮行に影響を与え、また印刷本だからこそなしえた科学への貢献があった。
エラスムスの名著から政治・宗教関係のビラやパンフレット、贖宥状のような紙片まで、当時最新の医学書からいかがわしい治療法に関するハウツー本までが織りなす、めくるめく書物と印刷の興亡史。
【著者紹介】
イギリスの歴史研究者、DPhil(オクスフォード大学)。セント・アンドルーズ大学の近代史教授で、専門は宗教改革および16世紀史。著書は他にThe Invention of News: How the world came to know about itself (Yale University Press, 2014)ほか。本書は、すぐれたルネサンス研究の歴史書に贈られるフィリス・グッドハート・ゴーダン賞を受賞、またニューヨーク・タイムズの「2010年注目の100冊」にも選ばれた。
内容説明
印刷本の誕生は西欧世界をどう変えたか―印刷業者から見た宗教改革や、本がアステカ征服に与えた影響、伝染病に悩むイタリアで流行したハウツー本…。書物を中心とする印刷物が政治・経済・宗教・科学・芸術に与えた影響をいきいきと描く、新しい文化史。
目次
第1部 はじまり(印刷時代以前の書物;印刷術の発明;ルネサンスとの危険な出会い―印刷術の危機)
第2部 根づいてゆく印刷文化(書籍市場の形成;本の町ヴィッテンベルク;ルターの遺産;ニュース速報のはじまり;上品な娯楽;学校にて)
第3部 論争(論争文学;秩序を求めて;市場原理)
第4部 新世界(自然科学と探検;治療;図書館をつくる;言葉と街角)
著者等紹介
ペティグリー,アンドルー[ペティグリー,アンドルー] [Pettegree,Andrew]
イギリスの歴史研究者、DPhil(オクスフォード大学)。セント・アンドルーズ大学近代史教授で、専門は宗教改革および16世紀史。著書『印刷という革命―ルネサンスの本と日常生活』は、すぐれたルネサンス研究の歴史書に贈られるフィリス・グッドハート・ゴーダン賞を受賞、またニューヨーク・タイムズの「2010年注目の100冊」にも選ばれた
桑木野幸司[クワキノコウジ]
大阪大学准教授、専門は西洋建築史・庭園史・美術史。工学修士(東京大学:建築史)、Dottore di ricerca(ピサ大学:美術史)。第八回(平成23年度)日本学術振興会賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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