出版社内容情報
二世紀~八世紀、宗教・民族・社会編成の大きな変容をみた時代を、ハイブリッドな文化と社会という継続性から捉えて概説する。
二世紀~八世紀、地中海と西アジアで気候が変動し宗教・民族・社会編成の大きな変容をみた時代を、蛮族とローマ人などの対立でなく、ハイブリッドな文化と社会という継続性から捉えて概説する。
内容説明
古代末期とは、どんな時代だったのだろうか。2~8世紀、地中海世界の社会と文化が大きく揺れ動いた時代を、租税、軍隊、蛮族、市民生活、教養、宗教、気候の変動まで、幅広く、かつわかりやすくまとめた一冊。
目次
第1章 古代末期とは何か、またそれはいつを指すか
第2章 帝国の経営
第3章 法と福祉
第4章 宗教
第5章 救われるために我々は何をなすべきか
第6章 蛮族について
第7章 青銅の象―古典文化とキリスト教文化
第8章 決定的変化は起こったか
著者等紹介
クラーク,ジリアン[クラーク,ジリアン] [Clark,Gillian]
イギリスの歴史学研究者。オックスフォード大学卒業、現在ブリストル大学名誉教授。アウグスティヌスおよび女性史の研究で知られ、権威あるJournal of Roman Studiesの編集委員も務める
足立広明[アダチヒロアキ]
1958年生まれ。奈良大学文学部准教授(専門は初期ビザンツ、西洋古代末期史)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Homo Rudolfensis
22
☆4.0 古代末期のローマ帝国についてとりあえずさらってみるのには適しているのかな、と思います。ただ、あまり目新しいことは書かれていませんでしたし、色々と惜しい本だなあという感想です。個人的にはローマ入門としてはどの時代でも断然『ローマ人の物語』を、何十冊も読んでらんねえ!という人には『古代ローマを知る事典』をおすすめします。とはいえ、古代末期を限定して一通りさらいたいなら全然アリの一冊です。2022/05/02
MUNEKAZ
18
もとはオックスフォード出版局の「A Very Short Introduction」の一冊。古代末期のローマ世界の手ごろな概説書かと思いきや、著者の専門であるアウグスティヌスの言葉が多く引用されているように、宗教と文化、ローマ人と蛮族の混交といった人々の心性に重きを置いた内容で、意外と硬派な印象。「存続」と「衰亡」が同居したという著者の言葉が全てを表しているか。衰退したとはいえかつての権威が力を持っていたり、宗教的な繋がりが争乱を招くあたりは、室町時代末期も思わせる。2021/04/28
刳森伸一
5
古代末期のローマは衰亡なのか変容なのかという問い自体にはあまり興味がないのだけど、当時の社会がどのようなものだったかには興味がある。この本では、このさら上記の問いを答えようとせず、当時の社会を分析しているので、個人的な興味には符合した、ただ、アウグスティヌスの著作などの特定の文献が多く引用されるため、内容が狭い範囲に限定されてしまっている気がする。2016/02/26
xin
5
古代末期はローマ帝国に体現された古代地中海世界という都市の文明が没落し衰退した災厄の時代なのか、それともゲルマン人ら「蛮族」が古代地中海世界を受容し新たな文明の端緒を開いた変容の時代なのか。近来歴史学はこの二つの説の間で揺れ動いているが本書はこの中間を行こうとしているように思える。「すべては何をどこに求めるかによる」というのはもっともだろう。比較的中立的な社会史の概説書としては悪くない。2016/01/27
さとうしん
4
本文の内容もさることながら、興味深いのは、訳者あとがきに見える、古代末期という時代区分を日本や中国にあてはめてみたらどうなるのかという発想。日本の歴史に古代はなく、中世から始まるという論者もいるが、古代末期という考え方を適用すれば、やはり古代から始まると見て問題ないというこになろう。中国史の場合も、後漢末から隋唐の成立あたりまでを古代末期と見るべきということになるのではないか。2015/08/26
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