内容説明
二度のノーベル賞に輝いた、女性科学者の比類なき生涯。
目次
第1部(マーニャ;暗い日々;少女時代 ほか)
第2部(パリ;ひと月四十ルーブル;ピエール・キュリー ほか)
第3部(ひとり;成功と試練;第一次世界大戦 ほか)
著者等紹介
キュリー,エーヴ[キュリー,エーヴ] [Curie Labouisse,`Eve Denise]
1904‐2007。ジャーナリスト、ピアニスト。科学者ピエール・キュリーとマリー・キュリーの次女としてパリに生まれる。姉はノーベル化学賞を受賞したイレーヌ・ジョリオ=キュリー。1938年、母マリー・キュリーの伝記を上梓し、世界中で翻訳された。後半生はアメリカに移住。NATOの国際スタッフとして働き、やがてユニセフの事務局長ヘンリー・リチャードソン・ラブイスと結婚。2007年、ニューヨークの自宅で静かに息を引きとる。享年102歳
河野万里子[コウノマリコ]
1959年生まれ。上智大学外国語学部フランス語学科卒業。国際翻訳賞新人賞受賞(1993年)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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aika
54
偉大な女性、マリー・キュリー。故国ポーランドが征服される屈辱。大好きな母や姉を失う哀しみ。貧しさ、女性であるがゆえに大学で学べない悔しさ。ラジウム発見までの苦闘。最愛の夫、研究のパートナーであるピエールを亡くした絶望。言われのない批難や中傷。マリーの人生は、手にした栄光以上に、苦難に満ちたものです。それでも、大好きな科学の研究を通して、生涯世の人のために貢献し、使命を果たし続けた「強さ」を、私も心に保ちたい。友人とマリーの崇高な人生について語り合った学生時代を思い返します。あの日々があるから、頑張れる。2017/02/15
扉のこちら側
44
2016年1005冊め。実子による伝記なのだが、完成度の高さに驚かされる。女性で初めてのノーベル賞受賞者にして、現在までにもわずか3人しかいないノーベル賞複数回受賞者。子どもの頃に読んだ伝記では、ナチス将校が来校した際にはその優秀さ故に必ず口頭試問に答えるよう教師に名指しされて辛かった思い出が書いてあり印象に残っていたのだが、この本では占領下のポーランドで女子学生が学問を続ける苦難が非常によくわかる。(続2016/11/22
むっしゅ
13
キュリー夫人に興味をもち拝読。 内容は娘が描く夫人の生涯。 本編は子供、結婚、寡婦時代の3部構成。 ノーベル賞2度の女性天才科学者の生涯とは・・ 放射能にラジウム発見、科学への情熱と自己犠牲、使命感。 孤独で貧しい幼少期から偉人級学者に至るまでの並外れた努力と波瀾万丈な人生軌跡、活動や環境規模の大きさに圧倒。 勉学や情熱に栄光と挫折。利益や名誉は国や学界に奉仕。 研究や論文等学者活動に学び、ちびキュリーや教育者活動等含めその生涯に感銘。 母親や妻としての夫人を知れたのも良き。 巻末、著者への称号に圧巻!2025/05/24
ふくみみ
11
面白かった!ポーランドに朝ドラがあれば絶対取り上げられてる。子供の頃に父から与えられた偉人伝で「寝るときあまりに寒かったのでありったけの服を着込んでトランクもかぶってさらに椅子もその上に重ねた」という話を覚えてて、なんだって椅子なんか…と思ってたのですがその記述を数十年ぶりに読んで謎が解けました。上橋菜穂子先生の獣の奏者を読んでるときもキュリー夫人のことを思い浮かべてたので、今読むとまた味わい深い。著者はキュリー夫人の娘のエーヴで、彼女がいかに母の人柄を敬愛しているかが伝わり、何度も感情を揺さぶられた。2014/09/13
人工知能
5
マリー・キュリーの一生を、次女のエーヴが描く。ポーランド生まれで早くに母を亡くしたり住み込みの家庭教師をしたりと苦労、フランスに渡りピエールと結婚、放射線測定から未知の元素を予言(ラジウムの発見)し、ノーベル物理学賞を受賞、数トンの鉱石からわずか数gのラジウムを単離し化学的な性質を解明するなどしてノーベル化学賞受賞、夫ピエールの死、第一次世界大戦時にX線治療できるよう奔走、この時とラジウム治療により多くの人の人命を救助、など偉大な功績と、その素朴でかざらないがとても強い人柄。深い感動。2017/10/19