出版社内容情報
2008年、戦後政治と向き合った福田康夫、麻生太郎、渡辺喜美、甘利明の「総合調整」を巡る戦いを綿密な取材で描く。
【著者紹介】
1977年12月生まれ。法政大学大学院社会科学研究科修士課程修了。1999年から2000年まで、豪シドニー大学経済学部に留学。毎日新聞社政治部で首相官邸や自民党を担当。日本経済新聞社経済部で財務省、経済産業省、内閣府を担当し、現在大阪社会部。著書に『鉱毒に消えた谷中村』(随想舎)がある。
内容説明
政界、財界、労働界が挑んだ迷宮。秋葉原事件やリーマン・ショックで揺れた2008年―。戦後政治と向き合った福田康夫、麻生太郎、渡辺喜美、甘利明の「総合調整」を巡る戦いを、綿密な取材で浮かび上がらせる。
目次
序章 三年坂
第1章 日暮里
第2章 修正協議
第3章 10森
第4章 投げ出し
第5章 内閣人事局
第6章 人事院
第7章 離党と政令
第8章 格付
第9章 公務員政局
第10章 十二兆円
第11章 幻の法律案
終章 厚労省大臣室
著者等紹介
塙和也[ハナワカズナリ]
1977年12月生まれ。法政大学大学院社会科学研究科修士課程修了。1999年から2000年まで、豪シドニー大学経済学部に留学。毎日新聞社政治部で首相官邸や自民党を担当。日本経済新聞社経済部で財務省、経済産業省、内閣府を担当し、現在大阪社会部(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ぐうぐう
18
本書は、2008年から2009年、福田政権から麻生政権で行われようとした公務員制度改革についてを検証している。自民党が与党に返り咲き、アベノミクスや消費税増税、原発事故処理を含む遅れる復興、こじれる中韓との関係等、いわば旬の問題ではなく、著者の言葉を借りれば「古くなった時代の政治を切り取っている」。しかし、そのことにこそ、本書の意味がある。メディアは移り気だ。そもそも根気がない。表面だけを掬い取り、わかったフリで批判だけをし、次の旬の問題へと移っていく。もちろん、それに国民も乗っかっている。(つづく)2014/01/22
Hiroki Nishizumi
4
当時は大変だなぁと感じていたが、今振り返るとなんだか矮小に感じるのは何故だろうか。2019/06/04
Makoto Kondo
4
福田、麻生政権からの公務員制度改革についてまとめたドキュメント。公務員制度改革がただ単にガバナンスだけの問題ではなく、公務員の労働者としての身分保障にも関わるだけに、ステークホルダーが多くなり調整が困難な問題である。それだけに自ら調整に乗り出し岩盤に風穴を空けた福田の奮闘が、後の麻生内閣では担当大臣に丸投げされて台無しにされてしまったことが悔やまれる。都市部の保守議員のパフォーマンス材料、政権交代のための踏み台。公務員改革は政争の具にされてしまい実現が遠のくばかりである。2014/06/25
koji
4
自民党福田、麻生政権における公務員制度改革を巡る混乱を丁寧に捕捉した良書です。著者の手法は、3、4年経って事後的に入手した未公表文書や聞き取りした関係者の証言を積極的に採用し、政官関係の本質を抉るものです。論点は、①なぜ福田首相は法案に積極になったか、②なぜ人事院は抵抗したか、③なぜ内閣人事局は迷走のうえ廃止になったかです。①は支持率低迷の打開、②は占領軍にまで遡る歴史と「徳俵一つで生き残る」体質、③は強力な抵抗勢力を捻じ伏せるリーダーシップの不在とリーマンショック後の大不況にあるというのが結論です。2014/03/11
ゾロりん
2
旅本1冊目。大昔に買ってようやく読めた。みんなが頑張れば大きな改革もできる。でも、いろんな偶然とかタイミングが合わないと実現しないのね。大変やなー。2016/03/15