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出版社内容情報
日付を入れる習慣がなかったカフカの手紙は、配列によって意味がまったく変わってくる。新編集による、恋人宛ての書簡集。
【著者紹介】
1883?1924。チェコのプラハ生まれ。プラハ大学で法学を専攻。ジョイス、プルーストとならぶ現代世界文学の最も重要な作家。著書に「失踪者」「城」「審判」など。
内容説明
恋人に宛てて書いた愛の書簡集、新編集にて贈る。
目次
ミレナのこと
ミレナへの手紙
著者等紹介
カフカ,フランツ[カフカ,フランツ] [Kafka,Franz]
1883‐1924。チェコのプラハに生まれる(当時はオーストリア=ハンガリー帝国領)。両親ともドイツ系ユダヤ人。プラハ大学で法学を専攻。在学中に小説の習作を始める。卒業後は労働者傷害保険協会に勤めながら執筆にはげむ。若くして結核にかかり、41歳で死去
池内紀[イケウチオサム]
1940年生まれ。1965年東京大学大学院修了。ドイツ文学者・エッセイスト(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
信兵衛
21
26年ぶりの再読です。 1919~20年、当時(36歳)の恋人だったミレナ・イェセンスカー(23歳)に対する夥しい手紙を収録した書簡集。 「あなたの迷宮の中に」を読む前に、読んでおこうと思った次第です。2024/03/31
踊る猫
14
カフカにとってミレナはどういう女性だったのだろう? 人妻であるにも拘らず恋をしてしまった相手であり、同時に母親のような存在でもあったのではないだろうか……一方ミレナの方からはカフカに送った書簡は収録されてないが、多分同じく心の病を抱えそこから生まれる孤独と苦悩を打ち明けられる唯一無二の存在でもあったのでは、と思わされた。そうでなければカフカのような、一日に何通も手紙を書き返事を待ちわびる面倒臭い人間と文通が続かなかったのではないか、と。カフカとミレナの関係を把握出来ていなかったせいか、些か消化不足となった2016/08/19
Tonex
9
カフカ全集にも『ミレナへの手紙』が収録されているが、手紙の配列が違う。その後の研究により順序が変更された。▼良い点。新訳なので読みやすい。字も大きい。全集で無視された敬称・親称のニュアンスの違いや、手紙の書き出し、しめくくりの言葉がちゃんと翻訳されている。▼悪い点。原書にあった詳細な注や補遺がほとんど切り捨てられた。一般読者には煩雑だろうという判断によるものと思われるが、研究者でない人間が原書を手に取ることなどないのだから、訳しておいて欲しかった。あと、池内紀の訳なので意訳が多いと思われる。2015/12/18
masabi
8
カフカの恋愛のひとつ、ミレナへ宛てた手紙。カフカ側の手紙だけが現存しているのも相まって手紙の内容はよくわからなかった。カフカは日に何度も手紙を出し、混乱しないように手紙にそれぞれ数字を割り振り読む順番を指定した。これだけでカフカの手紙魔ぶりは窺えるが、手紙だけでなく電報もこの列に加わる。なお電話は好まなかったらしい。ある文面には手紙を出してほしいとも、もう書かないでほしいともあり、なかなか複雑な心境が覗かせる。手紙を書き出すことで後からメッセージを生み出していたようにも思える。2025/05/02
イコ
5
恋に盛りあがっている時の手紙のやり取りが早過ぎ、その日の朝、昼、晩で手紙を書いて送って、相手が返事をする前に、手紙が来ないって落ち込んでたりするカフカ。あまりに早過ぎて、そのまま消し飛んだみたいな関係で、恋が成就しなかったのが分かるような分からないような、カフカの作品よりもより難解である。頻繁にやり取りしている時の手紙より、日が空いて書いた手紙の方が分かりやすいので、筆先が暴走気味だったのかもしれない。2024/10/17