出版社内容情報
時代背景のなかで傑作の数々を読み解き、大衆の原像ともいうべき人物像を追う。周五郎の人と作品に打ち込む新たな楔。
【著者紹介】
1939年京城生まれ。俳人、深夜叢書社主宰。著書に「齋藤愼爾全句集」「寂聴伝 良夜玲瓏」「ひばり伝 蒼穹流謫」など。
内容説明
市井の人々の哀歓に寄り添い、巡礼を求め続けた作家・山本周五郎。その“伝説”を今に甦らせ、新たな“神話”を告知する渾身の書下ろし評伝。
目次
故郷と現郷
二人の恩人
三十六少年の夢と失意
初恋の虚と実
関東大震災と周五郎
須磨寺での女性開眼
洒落斎と周五郎
ヴェルレーヌとストリンドベリ
最初期の少年少女小説
旺盛な少年少女小説の執筆〔ほか〕
著者等紹介
齋藤愼爾[サイトウシンジ]
1939(昭和14)年、京城市生まれ。俳人、深夜叢書社主宰。2010(平成22)年に『ひばり伝 蒼穹流謫』(講談社)で芸術選奨文部科学大臣賞受賞。山本周五郎の少年少女小説集『春いくたび』『美少女一番乗り』(角川文庫)の編集に携わる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
takao
1
ふむ2024/11/12
オールド・ボリシェビク
1
圧巻の評伝、ようやく読了。読み終えるのがもったいない気がしましたね。でも、周五郎、巷間伝えられるような「情けの人」ではないようですね。恩人・山本周五郎商店主人への恩義とは別の思いや、後妻への態度などから、それが伝わってくる。しかし、それが集合文学を毀損するかと言えば、それもまた違うのである。かくも複雑な人間ゆえに、周五郎はすさまじい名作を残すことができたのである。結局、人は評伝を読んで何を求めようとするのだろうか。評価すでに定まった作家の場合、特にそれは難しい問いになるな。 2018/11/25
夢仙人
1
あまり周五郎の幼少期のことは知らなかった。池波正太郎のようにもっと自信をもてば良いのにと思う。初期の作品も読んでみよう。2014/08/03
SU
1
山本周五郎の評伝。当たり前だけど、やはり突出した人間はクセがあり、近付きすぎると大変だと分かりました。ただ、筆者が語るように山本周五郎の作品を読まないのは人生の損失であるは、何と無くですが分かる気がします。2013/10/06
ラム
0
周五郎作品で決定的回心を経験した斎藤がその意味を問うため生涯を辿る 徹底した偶像破壊、人格への反発、糾弾 周五郎論の第一人者木村久邇典にも容赦ない 時勢に面従腹背、吝嗇、好色、粗暴、出自と学歴コンプレックス、恩人の山本周五郎商店洒落斉との絶縁等こんな人間から名作の数々が誕生した奇跡のような文学の不思議を味わったと 周五郎への糾弾と作品へのオマージュ 奥野健男等の読み巧者の批評を丹念に追い、作品の魅力を詳細に語る 斎藤にとって周五郎は「青べか物語」であり、「その木戸を通って」「おさん」「落葉の隣り」であると2020/07/12