レニングラード封鎖―飢餓と非情の都市1941‐44

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  • サイズ B6判/ページ数 418,/高さ 20cm
  • 商品コード 9784560082683
  • NDC分類 238.2
  • Cコード C0022

出版社内容情報

空襲、厳寒、カニバリズム、死の恐怖に、市民はいかに立ち向かったのか。新史料と生存者への取材で真相を明かす。

【著者紹介】
ブリストル大学で歴史博士号(軍事史専攻)を取得後、サウスウェスト・イングランド大学、グラスゴー大学、ウィンチェスター・カレッジで教鞭を執った。英国史学会会員フェローで、現在は作家、メディアの歴史コンサルタント、歴史プレゼンター。

内容説明

ヒトラーの包囲攻撃に耐えた900日、市民の犠牲者100万人の内、餓死者80万人。ナチス・ドイツの残忍な「人体実験場」と化した大都市が苦悶に喘ぐ。空襲、厳寒、カニバリズム、死の恐怖に、市民はいかに立ち向かったのか。新史料と生存者への取材により、「英雄と悲劇の物語」の真相に迫る。

目次

「ほぼ科学的な方法」―ドイツ軍の進撃
「赤軍随一の能なし」―レニングラード防衛の試み
死の影―一般市民の試練の始まり
締まる首縄―封鎖打破の企ての失敗
エレーナの写生帳―忍び寄る恐怖
堕ろし屋―大量餓死の始まり
黒のベレー帽―統制力を失う市当局
「生の道」―希望を持ち続けること
交響曲第七番―生き残る意志を見出す
イスクラ作戦―封鎖に穴を開ける
何が必要だったのか―封鎖の打破から完全解除へ

著者等紹介

ジョーンズ,マイケル[ジョーンズ,マイケル][Jones,Michael]
ブリストル大学で歴史博士号(軍事史専攻)を取得後、サウスウェスト・イングランド大学、グラスゴー大学、ウィンチェスター・カレッジで教鞭を執った。英国史学会会員フェローで、現在は作家。近年は、第二次世界大戦東部戦線戦跡ツアーの案内役も務めている。1992年の処女作The Kings’Mather:Lady Margaret Beaufort,Countess of Richmond and Derby(『王の母―レディー・マーガレット・ボーフォート』)は英国史学会ホイットフィールド賞の最終候補になった

松本幸重[マツモトユキシゲ]
1939年生。東京外国語大学ロシア語科卒。旧ソ連大使館広報部勤務を経て、現在、翻訳業(ロシア語と英語)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

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えちぜんや よーた

84
「官僚主義」という言葉すら当てはまらない。「蛮勇」というか「バカ」というか表現に困る。歴史上、本当にこんな無責任なことがあったのかと思うと開いた口がふさがらない。また当時の市民生活は「夜と霧」を思い出させる。飢餓という極限状態に追い込まれると人間は何をするか。自己保身をするか?自己を律して他人のために尽くすか?後者の方が生き残る確率は高い。お上は自己保身で生き残るし、下々は他人に尽くして生き残る。ボリシェヴィキ(中央集権による組織統制)は全く当てにならないことが赤裸々に記述されている。2017/01/11

キクチカ いいわけなんぞ、ござんせん

21
第二次世界大戦でドイツ軍に封鎖されたレニングラード。官僚指導者の不手際や保身や体面でこの事態になり、80万人とも言われる市民の死者を無駄に出した。その市内で市民が書いた日記、スケッチなどはソビエト崩壊まで公開されなかったという。持ちこたえた市民はスターリン政権の美談として伝えられた。戦後50年過ぎてかつて封鎖を行ったドイツ兵が、レニングラード市民に謝罪した。その時謝罪を受けた市民は「なぜソビエトの指導者達は謝らないのだろう」と思ったと言う。レニングラードの敵は、ソビエト指導者達でもあったのだ。2015/07/24

ののまる

19
ドイツ軍の900日にわたる封鎖に耐えたレニングラードを、個人の日記や絵、膨大な資料から再現。ドイツの非情な餓死作戦より腹立たしいのは、ソ連軍高官の愚策、市の高官たちの食糧横領により、市民が餓死し、人を食い、人が人でなくなっていったこと。しかしその中にも人間であることを忘れたくないと、1日125gの配給パンがあるかないかの中で、他の人を助け、本を読み、研究を続け、音楽を聴き、自分の尊厳を守り続けた人たちのエピソードが、行間からキラキラする。しかし封鎖解除後、スターリンによって粛清対象となる、ソ連の恐ろしさ。2021/01/21

BLACK無糖好き

13
ヒトラーのドイツ軍によって封鎖されたレニングラードの悲劇の記録。飢え・極寒・空爆・恐怖・絶望が人々を襲う、更に市当局からの監視で人前での悲しみの表明は国家に対する犯罪と見なされるというソ連ならではの悲劇も重なる。本書では剥き出しの生と死に直面する事になり夥しい数の死者が頻出するが、計り知れぬ犠牲を払いながらもいかにレニングラードが持ちこたえたかが描かれている。極限状態にありながらも人間性を失わなかった人々の存在。人が人であるために文化の果たした役割とその力の大きさも改めて感じる事が出来た。 2016/04/05

勝浩1958

8
ヒトラーもスターリンも狂っていた。多くの無辜の人々が二人の犠牲になったと思う。レニングラード封鎖の発想自体狂気じみている。狂人に絶対的な権力を持たせると、必ず悲劇が訪れる。今の世界を見回しても、同じようなことが起こっている。人間は反省をすぐに忘れてしまう。2020/04/03

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