出版社内容情報
異能のビブリオフィリアが辿った「確認の旅」から「発見の旅」への時間。そのひとときを共にした夫人が貼り重ねる旅のモザイク。
内容説明
偉才がたどった「確認の旅」から「発見の旅」へ。そのとき共にした夫人が貼り重ねた、「最後の旅」と「幻の旅」に至るモザイクの片々。
目次
最後の旅
車での旅
ヨーロッパへの旅
京都の旅
仏を訪ねる旅
奇譚の旅
物語を探す旅
友人たちとの旅
幻の旅
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ぐうぐう
6
「日々」を綴った思い出から、「旅」の思い出へ。特異な個性と才能を持つ夫のそばで、妻は控えめに存在しているかに見えるが、その妻が夫に与えた影響は、あまり大きいことは、前作『日々』で気付かされたことだったが、今作『旅』では、夫・龍彦を書斎から外へ導いた功績に改めて感嘆させられる。龍彦にとって旅は、本で知った知識の確認の旅として始まり、やがて、未知なものに出会う発見の旅へと変化する。(つづく)2012/05/09
かず
3
産み出した作品の存在感が深まる。死んだ後も生きた人の生の声で称えられていく作家が好きだ。2013/05/08
コウみん
1
澁澤龍彦の奥さんの龍子さんが書いたエッセイ。 澁澤龍彦が生前に旅していた内容で海外、国内など彼と彼の知り合いと一緒に旅行した話を書いた。 彼の素直な姿が見られる一冊であった。そして、そんな彼を見られない悲しみもあった。2018/12/01
hgstrm2
1
龍子さんの、澁澤への愛だけで出来ているような本。この2人の関係が、あまりにも素敵で、それを言葉で表現するのは難しいし、する必要もない。旅行に一緒に行くならこの人、と思える人がいるというのはいいことだ。本当に。2016/05/05
梟をめぐる読書
1
「〈庭〉から〈旅〉へ」ーー。かつて巖谷國夫は晩年の澁澤龍彦に訪れた文章スタイルの不可思議な転換を、その一言のフレーズをもって表した。しかしそんな彼の心境の変化をもっとも身近に感じていたのは、ほかならぬ澁澤龍子夫人であったにちがいない。本書はその「変貌」の直接の契機となったヨーロッパへの大旅行から、惜しくも二人の「最後の旅」となった山口への小旅行まで、まさに〈旅〉の実見を通して素直な驚きや感動を表明するようになった頃の彼の姿が垣間見られる貴重な証言集となっている。2012/04/02