出版社内容情報
突然、激しく身体が震えはじめた私は、脳科学・哲学・文学などの知見をひもときながら治療にのぞむ。感動的なエッセイ。
内容説明
片頭痛になやまされる作家が、神経内科医による診療も受けながら、精神と身体の関係をめぐる古今東西の文献を読破してゆく。ポール・オースターの伴侶による、知的な渇きをいやす「闘病記」。
著者等紹介
ハストヴェット,シリ[ハストヴェット,シリ][Hustvedt,Siri]
1955年、ミネソタ州ノースフィールド生まれ。1978年にニューヨーク市に移り、1986年にコロンビア大学で英文学の博士号を取得。現在は、夫のポール・オースターとブルックリンに住んでいる
上田麻由子[ウエダマユコ]
1978年奈良県生まれ。上智大学大学院文学研究科英米文学専攻博士後期課程単位修得退学。アメリカ文学専攻。首都大学東京などで非常勤講師(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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千代
1
闘病記エッセイという、著者に起こった片頭痛と震えについて、様々な観点から語られてます。一見すると言葉は難しいものの、非常に共感できる部分が多かったです。2012/08/14
くさてる
1
突然、自分を襲うようになった震えの発作と向かいあいながら、様々な方面への思索を広げていく著者。時に専門的に、または詩作的に掘り進めていく言葉は、なかなか頭に入って来なかったが、意味が完全に掴めなくても伝わってくるものがあった。2012/04/20
speaklow
1
答えはないと分かりつつも探求せずにはいられない、人間の心と身体の不思議。一体、認識でき、コントロールできる範囲が「自分」なのか、この器に入っている全てのものが「自分」なのか?自らの「震え」を題材にどんどん知識や思索の海に潜っていく著者に寄り添って、気づくと私は私で「自分」について考えさせられていた。2011/12/28
denden_fish
1
シリ・ハストヴェットは心理学と神経内科学のディスクールの暗い森をさまよいながら、自分の中にいる「震える女」の後ろ姿を追い求める。あらかじめ頓挫を運命づけられたその旅は、だが、冷徹な思索と病める者たちへの優しい眼差しに彩られる時、一ページたりとも緊張が解かれることのない、スリリングな捜索の物語へと変貌する。おそらく、私たちは誰もが、決して夢から覚めることを許されないアリスの物語を生きているのだ。2011/10/09