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内容説明
有史以来、熊と人は、他の動物とは異なる特別な関係を結んできた。世界各地の神話、宗教、伝承、文学、科学などにおいて、熊はどのように描かれ、語られ、解釈されてきたのか。その興味尽きない歴史をたどりながら、熊と人の「共生」への道をさぐる。
目次
熊の辿ってきた道
変異
ドウクツグマの謎
誤解
異国での発見
熊の個性
音、感覚、合図
ペットとしての熊
東シベリアでの観察者
対峙する
狩る者と狩られる者
イヌイット族とホッキョクグマ
もっと、もっと近くに
熊のショー
熊の代役
熊恐怖症
著者等紹介
ブルンナー,ベルント[ブルンナー,ベルント][Brunner,Bernd]
1964年生まれ。ベルリン自由大学、ベルリン経済大学を卒業。現在は客員研究員、フリーランスの文筆家、ノンフィクション作品の編集者
伊達淳[ダテジュン]
1971年生まれ。和歌山県那智勝浦町出身。関西学院大学商学部卒業。東京外国語大学欧米第一課程卒業(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
121
熊についての生態学的な観点から、人類とのかかわりを描いた本で結構楽しめました。東欧やロシアを除いてはもうほとんど絶滅危惧種になった熊について歴史的な話を提供してくれます。ドイツやスイスなどでは都市の紋章に結構熊が使われているのですが、その理由などがわかる気がしました。2016/09/03
zoe
20
もし、熊と人類を取り巻く2000年頃までの情報のまとめを読みたいなら、手に取ったら良さそうな本でした。現状の問題は、予想困難な熊による被害をなくしたい立場と、自然を保護するという立場のせめぎ合い。折り合いをつけるということではなく、根本的な解決策が欲しいと思うところ。そんな事を言っているから解決しないのかもしれないですが。訳者後書きで、北海道の熊の彫り物は、スイスの伝統工芸だと書いてました。そうなの?本当に?と単純に疑問を覚えたので、折をみて調べたいと思います。いつかアイヌコタンに行って聞いてみるかな。2019/05/02
内島菫
17
西洋では、猿の存在が知られるまでは、熊が人間に最も近い動物と考えられていたそう。二本足で立ったり、人間のように雑食だったりするからのようだが、そもそも人間との共通性を重要視する態度自体が、仕方ないとはいえ人間中心主義的で不遜に思える。本書でも何度も述べられているように、熊のほうは少なくとも人間が熊に関心を持つほどには人間に興味はないだろう。熊が親しみやすく擬人化される存在だからこそ、同時に大型肉食獣である彼らを恐れるというアンビバレントな感情は増幅される。熊に芸を仕込んて見世物にするという行為は、2023/04/25
qoop
7
欧米の歴史/文化を中心に熊への見方、接し方の変遷をたどる本書だが、ヒト以外の大型霊長類が確認されていない北半球では長い間、熊こそが最も人間に近い動物だと思われていたとか。本書を読むまで考えたことがなかったが、確かに神話や伝承で語られる熊への距離感の近さを理解する上で、その視点は必須かも。迂闊だったなぁ。あ、p38、イエティ=熊説を唱える「日本人研究者のマタコ・ナブカ」とは根深誠氏のことだよね。根深氏の「イエティ」出版は本書刊行以後なので、訳出当時は確認が取れなかったのだろう。2017/02/14
サメ社会学者Ricky
7
私のワンちゃんが熊に似ている。ただそれだけの理由で読んでみた。熊に対する西洋人、ネイティヴアメリカンを始めとする民族の考え方、熊の生態などについて書かれている。家畜にしにくい動物に関するジャレド・ダイアモンドの主張と異なる話が書かれていたので、また再読して考えてみたい。2014/11/27