内容説明
見る者を深い静けさで包む込む、畢生の大作「聖十字架伝説」を頂点に、数々の傑作を生み出した初期イタリア・ルネサンスの異才。その謎多き生涯と作品を語り尽くすピエロ論の古典。
目次
第1章 歴史的評価
第2章 生涯と作品
第3章 ピエロと時代環境
第4章 ピエロ的世界の成立
第5章 ピエロと透視図法
第6章 ピエロとアルベルティ
第7章 人間像
第8章 世界像
第9章 晩年の作品
第10章 結論の試み―ピエロとフーケ
付録 ヴァザーリ「ピエーロ・デルラ・フランチェスカ伝」
著者等紹介
フォシヨン,アンリ[フォシヨン,アンリ][Focillon,Henri]
1881―1943。フランスの美術史家。銅板画家の息子として、ディジョンに生まれる。リヨン大学教授、リヨン美術館長、またエミール・マールの後任としてパリ大学教授や、コレージュ・ド・フランス教授を歴任。第二次世界大戦の勃発を機に渡米し、イェール大学で美術史と考古学を講じていたが、1943年フランスの解放を待たずにニューヘヴンで客死。著書は、中世・近代の西洋美術を中心に多数
原章二[ハラショウジ]
1946年生。1970年早稲田大学文学部仏文科卒。1975年パリ大学哲学博士。哲学・美学専攻。早稲田大学教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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みそさざえ
14
数年前イタリアを旅してピエロ・デッラ・フランチェスカの作品を少しまとめて観たとき、最初はその憮然とした表情や重い感覚に抵抗を覚えながらも、ずっと心にかかり、いつしか忘れられなくなっていた。 フォシヨンの著書は、素人の私には難解な部分も多いが、例えば二つのイタリアに関する記述などは明快で説得力がある。ものに動じず堅固な表情で威厳に満ちているという例は、まさに私の強くひかれた理由だったのだと思い当たった。また、悲壮なドラマを描き出すのではなく、のどかで鄙びた平安の中での安定といったものも。2020/03/05
舟江
2
ピエロで読み始めた27冊目は、宗教画の巨匠の本であった。キリスト教徒でないので感想は差し控えるが、中にはピサネッロや当時のヴェローナの支配者は、人間として興味がわいた。2015/05/23
sakamoto
1
ピエロの芸術は多くの点で、時代からほとんど野生の力ともいうべきものをふるって逃れ去っているのだ。2014/04/03
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