出版社内容情報
兄と弟、それぞれに訪れた忘れがたいひと夏の恋
第2部「少年園」からおよそ5年。ジャックは兄アントワーヌと親友ダニエルらに囲まれてエコル・ノルマル(高等師範学校)の合格発表を待っている。ジャックは見事な成績で合格を果たすが、実感がわかず、自らの進路に確信がもてない。
オペラ座界隈の酒場で合格祝いの席が設けられたものの、こうした店に不慣れなジャックは落ち着かない。かたやダニエルは新入りの若い娘リネットに目をつける。
いったん帰宅したアントワーヌは、父の秘書シャールを毎日迎えに来る少女が車に轢かれたと知らされる。瀕死の重傷を負った少女を救うため、シャール宅に赴いて手術を開始したアントワーヌは、階下に住む美しい女性ラシェルと出会う。
翌日、ジャックはチボー家の別荘があるメーゾン・ラフィットに赴く。そこで夏のヴァカンスを過ごしながら、ダニエルの妹ジェンニーと、ぎくしゃくとはしながらもかつてない結びつきを深めていく。
【目次】
一 ジャック、エコル・ノルマルの入学試験に合格する──アントワーヌ、ジャックと語る──発表──ジャック、ダニエルやバタンクールといっしょに帰る
二 パクメルの一夜──ダニエル、ジャックを紹介する──晩餐、ジュジュおばさん。ポール。マダム・ドローレスと孤児の少年。ダニエルとリネット。ジャック、あわただしく席をはずす──ダニエル、リュドウィクスンからリネットを奪う
三 アントワーヌ、シャール氏の訪問を受ける──デデットの奇禍──手術──ラシェル
四 シャール氏、警察署へ出かける──アントワーヌ、ラシェルを伴って昼食を共にする
五 ジャック、メーゾン・ラフィットへ出かける──ジゼールとの午後──チボー氏、兄弟に向かって戸籍簿の記載変更の意図を告げる──夕食後、アントワーヌとジャック、フォンタナン夫人を訪問。ニコルといいなずけの男
六 ジャック、ジェンニーにバタンクールの結婚式の話をする
七 フォンタナン夫人、夫に呼ばれてアムステルダムへ行く
八 ジャックとジェンニー。森の散歩。壁面のキス
九 ラシェルの部屋での日曜日。写真
十 メーゾン・ラフィットでのジェローム──ジェンニー、すべてを母に語る
十一 アントワーヌとラシェルと、映画館に行く。アフリカの映画──パクメルでの夕
十二 ジェローム、リネットに再会す
十三 アントワーヌとラシェルと、ゲ・ラ・ロジエールの墓地を訪れる
十四 ラシェルの出発──ル・アーヴルでの最後の一日──港口での別れ
解説 野崎歓
内容説明
歳の離れた兄と弟、それぞれに訪れた忘れがたいひと夏の恋。
著者等紹介
マルタン・デュ・ガール,ロジェ[マルタンデュガール,ロジェ] [Martin du Gard La belle saison,Roger]
1881年パリ郊外のヌイイ=シュル=セーヌに生まれる。リセ時代に読んだトルストイの影響を受け、文学を志す。パリ古文書学院卒業後、作家としての活動を開始。ドレフュス事件を扱った『ジャン・バロワ』をアンドレ・ジッドの手引きにより出版、地位を確立。1920年頃、第一次世界大戦の従軍経験から大河小説『チボー家の人々』の着想を得る。以後20年にわたる執筆が始まり、1922年に「第1部 灰色のノート」を刊行。1936年に刊行した「第7部 1914年夏」が評価され、1937年度ノーベル文学賞を受賞。1940年に刊行した「エピローグ」により全8巻が完結。まもなく第二次世界大戦が勃発、自宅をナチスに占拠され、各地を転々としながら次作『モモール中佐の回想』の執筆を続けるが未完に終わる。1958年没
山内義雄[ヤマノウチヨシオ]
1894年東京生まれ。1915年東京外国語学校仏語科を卒業。1922年、『チボー家の人々』の「第1部 灰色のノート」の翻訳に着手。1938年、『チボー家の人々』1巻を白水社より刊行。1941年、フランス芸術文化勲章シュヴァリエを受章。1950年、『チボー家の人々』8・9・10巻(「第7部 1914年夏」)の訳業により日本芸術院賞を受賞。1952年、「エピローグ」を刊行し、全11巻が完結。同年、『チボー家のジャック』を刊行。1973年没(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。



