出版社内容情報
『分解する』『ほとんど記憶のない女』につづく、三作目の短編集。鋭敏な知性と感覚によって彫琢された珠玉の56編。
内容説明
『分解する』『ほとんど記憶のない女』につづく、「アメリカ文学の静かな巨人」の三作目の短編集。内容もジャンルも形式も長さも何もかもが多様なまま自在に紡がれる言葉たちは、軽やかに、鋭敏に「小説」の結構を越えていく。作家が触れた本から生まれたミニマルな表題作「サミュエル・ジョンソンが怒っている」をはじめ、肌身離さず作家が持ち歩くという「小さな黒いノート」から立ち現れたとおぼしき作品など、鋭くも愛おしい56編を収録。
著者等紹介
デイヴィス,リディア[デイヴィス,リディア] [Davis,Lydia]
1947年マサチューセッツ州生まれ。プルーストの『失われた時を求めて』第一巻『スワン家の方へ』の新訳が高く評価されるほか、ビュトール、ブランショ、レリス、フロベールなどフランス文学の英訳者としても知られ、フランス政府から芸術文化勲章シュヴァリエを授与されている。2003年にはマッカーサー賞、2013年には国際ブッカー賞を受賞した
岸本佐知子[キシモトサチコ]
上智大学文学部英文学科卒。翻訳家。著書に『ねにもつタイプ』(講談社エッセイ賞)などがある(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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- 評価
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
いなお
4
とても楽しい本だった、ほとんど記憶のない女から変わらずユニーク2024/04/19
ざじ
4
著者の視界に入った事象がどこまでも解像度を高められ、時に歪んでいく様子を活字で読む幸福を味わうことができる 文字数が少なければ少ないほどクールさを感じる2024/01/31
さぶろうの領土
4
私は文中に【サミュエル・ジョンソン】という字面が出てくると興奮する変態なので、この本は完全にタイトル買いしたのだけど、買って正解だった。著者は自身の内省的なモノに対する解像度が、とてつもなく高いんだろうと思う。読んでいてそう感じていた。たぶん著者の作品を読んだ事がある人ならわかってもらえると思う。なんで自分はこういう感情になったんだろう、とか。なんであの人はこういう行動をしたんだろう、とか。そういった事を深く追求している人でないと、こういった作品は書けないだろうと思う。サバサバした文章も良い。2023/04/02
natsumi
4
多種多様なエッセンスで溢れる作品集。何かが間違った輝きを放つマリー・キュリーのインスタレーション的伝記があるかと思えば、急にきみまろの漫談みたいな夫婦・家族あるあるがぽんと出現する。めちゃくちゃクールで鋭いのに、自己との気取りのない距離感、ギャグセンスが本当に絶妙だと思う。底知れないぜリディア・デイヴィス〜2023/03/28
にしきみ
1
「何でもかんでも小説になってしまう」人のなんでも小説2024/10/23