白水Uブックス 海外小説永遠の本棚
ペンギンの島

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  • サイズ B40判/ページ数 387p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784560072172
  • NDC分類 953
  • Cコード C0297

出版社内容情報

聖者の手違いから人間に変身したペンギンの国の年代記を通して、フランスの歴史を戯画的に語り直したノーベル賞作家の埋もれた名作。ペンギンの国に託して描く人類の愚行の歴史
 高徳の聖者マエールは悪魔に唆されて極地の島に向かい、間違ってペンギンに洗礼を施してしまう。天上では神が会議を開き対応を協議、ペンギンたちを人間に変身させて神学上の問題を切り抜けることにし、ここにペンギン国の歴史が始まった。裸のペンギン人に着物を着せるという難題に始まり、土地所有と階級の起源、竜退治の物語、聖女伝説、王政の開始、ルネサンス、革命と共和国宣言、英雄トランコの登場、国内を二分した冤罪事件と続くペンギン国の年代記は、フランスの歴史のパロディであり、古代から現代に至る人類社会の愚行が巧みなユーモアで戯画的に語り直される。ペンギン人の富裕層が主張するトリクルダウン理論への諷刺や、近未来の新格差社会の光景は、21世紀の日本に生きる我々にも痛切に響くだろう。ノーベル賞作家A・フランスの知られざる名作。

アナトール・フランス[フランス]
著・文・その他

近藤 矩子[コンドウ ノリコ]
翻訳

内容説明

悪魔に騙された聖者マエールは間違って極地のペンギンに洗礼を施してしまう。天上では神が会議を開いて対応を協議、ペンギンたちを人間に変身させて神学上の問題を切り抜けることにし、ここにペンギン国の歴史が始まった。古代から現代、未来に至るフランスの歴史をパロディ化、戯画的に語り直した、ノーベル賞作家A・フランスの知られざる名作。

著者等紹介

フランス,アナトール[フランス,アナトール] [France,Anatole]
1844年、パリで生まれる。コレージュ・スタニスラスで学ぶ。高踏派詩人として出発し、1873年、第一詩集『黄金詩集』を発表。その後小説と評論に転じてフランス文学界を代表する作家となる。反教権主義の立場からカトリシスム批判を展開、その関心は社会問題へも向かい、ドレフュス事件(1894)ではドレフュス擁護の論陣を張るなど積極的に活動した。アカデミー・フランセーズ会員。1921年、ノーベル文学賞を受賞。1924年死去

近藤矩子[コンドウノリコ]
1929年、三重県生まれ。フランス文学者。旧制大連芙蓉高女、東京外国語大学フランス科卒。1958年、東京大学大学院(仏文科)在学中に第一回アシェット・ラルース・フランス文学賞に入賞、懸賞を得てパリ大学に留学し1960年まで滞仏した。1966年からは福岡女子大学でフランス文学を講じる。1972年没(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ふるい

11
手違いで人間になってしまったペンギン人の歴史がひたすら綴られていく、という突飛な設定にまず驚かされる。ペンギン人の国家の物語に込められている、現実世界に対するあらゆる方面に向けた皮肉や風刺が盛りだくさんでおもしろいが、自分にもっと教養があればさらに楽しめるだろうなぁという感じだった。ドレフュス事件をなぞった章が特に印象的。そしてラストは…笑うしかないw2018/05/28

松風

8
あれ?アナトール・フランスっていつの人だっけ?というくらい現代的。2020/04/04

刳森伸一

6
誤って洗礼を受けたペンギンを神様が人間にしたことから始まるペンギン人の歴史を描く架空歴史小説。大きなストーリーというより「歴史的」なエピソードの集合で、それぞれが歴史事件の皮肉の効いたパロディになっている。元ネタが分からないところもあり、もっと知識があればより楽しめたと思うと少し悔しい。歴史の勉強が足りない…2018/04/26

ovonkovon

4
優れたコメディはあらゆる全てを笑いのめすと言うが、これもそうですね。フランスの近代までの歴史をパロった、あまりに浅はかで欲望塗れな人間もどき(ペンギン人)の右往左往をニヤつきながら読むうちに、アレッどうも身近感が...現在の状況にそっくりでは...?となり、しまいには読み手である自分のしょうもなさにまで辿り着いてひきつり笑いになると言う流れですよ。うーん怖い。どんな立場でも時代でも人間そう変わらんものよ、と思いつつ、その浅はかさや欲望に基づくバイタリティこそが人間の醍醐味なのかも。2020/06/13

amanon

3
それなりに面白いのだけれど、個人的に今一つはまりきれなかった…というのが、正直なところ。確かにフランス史を元にペンギンを使って戯画化したという手法は卓抜だし、風刺も効いていて、洞察力にも富むのだけれど、その反面フランス史及びキリスト教の素養がないと分かりづらい箇所が少なくないというのが難点。ただ、近未来を描いた最終章はその文明批判と今日を予測していたかのごとき、カタストロフの描写はかなり圧巻。また、ドレイフェス事件を材にとったピロ裁判のエピソードもまた、今日においてこそなお一層の示唆に富むものである。2018/08/27

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