白水Uブックス
死を忘れるな

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  • サイズ B40判/ページ数 330p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784560072028
  • NDC分類 933
  • Cコード C0297

出版社内容情報

「死ぬ運命を忘れるな」という謎の電話が老人たちの間に引き起こす波紋と様々な人間模様をユーモアを交えて描いたイギリス小説の傑作

老いと死をめぐるブラックコメディ

 「死ぬ運命を忘れるな」と電話の声は言った。デイム・レティ(七九歳)を悩ます正体不明の怪電話は、やがて彼女の知人たちの間にも広がっていく。犯人探しに躍起となり、疑心暗鬼にかられて遺言状を何度も書き直すデイム・レティ。かつての人気作家で現在は少々認知症気味のチャーミアン(八五歳)は死の警告を悠然と受け流し、その夫ゴドフリー(八七歳)は若き日の数々の不倫を妻に知られるのを恐れながら、新しい家政婦(七三歳)の脚が気になる模様。社会学者のアレック(七九歳)は彼らの反応を観察して老年研究のデータ集めに余念がない。謎の電話が老人たちの間に投じた波紋と、登場人物ほぼ全員七〇歳以上の入り組んだ人間模様を、辛辣なユーモアをまじえて描き、「この五十年間でもっとも偉大なイギリス小説のひとつ」(ジュリアン・バーンズ)と評される傑作。

【著者紹介】
1918年、スコットランドのエディンバラで生まれる。学校教師、アフリカでの短い結婚生活、第二次大戦中の政治情報局勤務、雑誌編集者等を経て、1951年、短篇「熾天使とザンベジ河」が《オブザーヴァー》紙の懸賞小説に入選。長篇第一作『慰める者たち』(57)の後、『死を忘れるな』(59)で批評家の称賛を集め、『ミス・ブロウディの青春』(61)の成功により人気作家となる。1967年にイタリアに移住。小説の他、詩、戯曲、ラジオドラマ、評伝などを手掛けた。『独身者』『マンデルバウム・ゲイト』『運転席』『邪魔をしないで』『寝ても覚めても夢』『バン、バン! はい死んだ』(短篇集)などの邦訳がある。2006年、フィレンツェで死去。

内容説明

「死ぬ運命を忘れるな」と電話の声は言った。デイム・レティ(79歳)を悩ます正体不明の怪電話は、やがて彼女の知人たちにも広がっていく。ある者は疑心暗鬼にかられて犯人探しに躍起となり、ある者は悠然と受け流し、ある者は彼らの反応を記録して老年研究の材料とした。謎の電話が老人たちの生活に投じた波紋・登場人物ほぼ全員70歳以上の複雑な愛憎関係を、辛辣なユーモアで描いたイギリス小説の傑作。

著者等紹介

スパーク,ミュリエル[スパーク,ミュリエル] [Spark,Muriel]
1918年、スコットランドのエディンバラで生まれる。学校教師、アフリカでの短い結婚生活、第二次大戦中の政治情報局勤務、雑誌編集者等を経て、1951年、短篇「熾天使とザンベジ河」が“オブザーヴァー”紙の懸賞小説に入選。小説の他、詩、戯曲、ラジオドラマ、許伝などを手掛けた。2006年、フィレンツェで死去

永川玲二[ナガカワレイジ]
1928年鳥取県米子市生まれ。東京大学文学部英文科卒業。東京都立大学助教授を経て、1970年にスペインのセビーリャに移住、海洋文学史等を研究。2000年、一時帰国中に没(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

藤月はな(灯れ松明の火)

90
登場するのは中流階級以上の70代超えの男女+その子供達(彼らは50代以上)。同年代に会って自慢することは、やれ「あいつより、それほど、耄碌してない」や「ピンシャンしている」。不倫、告口、やっかみ、おべっか、逆恨み、仲良し面して陰で貶すなど、それなりに身体は老いながらも意識せずに、忙しかった彼らに「死を忘れるな」という電話が掛かっていく。掛かった順から死んでいく。そして望んでいたものを手に入れたとしても人間はそうそう、変われない。変わらない。老いても人は大成しないし、愚かなままに突っ走るばかり。これも人生。2017/09/17

HANA

58
電話から聞こえてくる「死を忘れるな」という言葉。という粗筋からミステリ仕立てのものを連想していたのだが、実際は老人の人間関係を巡る群像劇であった。登場人物のほとんどが一癖も二癖もある人間ばかりでそれに老人特有の頑固さが輪を掛けており、その人間関係は混迷を深めるばかり。主要な登場人物は、ほとんど七十歳以上ばかりだし。ただ老人たちの台詞や行動のトンチンカンぶりや思い込みっぷりが面白いものの、その様子は線香花火の最後の輝きのようにも感じられて。面白うてやがて哀しきという言葉がぴったりあう一冊でした。2015/10/16

こばまり

57
老老男女入り乱れ、愚痴るわ当てこするわ画策するわで大わらわ。とてもイギリスらしいコメディを堪能した。不仲も半世紀続けば親友だ。憎まれても世に憚って過ごす方が人生は楽しそう。2016/08/25

かわうそ

31
年齢を重ねるごとに頑固さを強化してきたような登場人物たち(ほぼ全員70歳以上)が微妙に噛み合わない会話を延々と繰り広げる様子がなんとも味わい深い。頭の中ではパワフルなようで動き出すとやっぱり衰えは隠せない老人たちのドタバタを楽しく読みました。2015/09/28

tsu55

19
登場人物が老人ばかりなので、コロコロ死んでいく。神様のもとに帰る日も近いのだから、諦観とか達観とかいう境地に達するのかとおもうのだけれど、そんなことはない。みんなクセの強い老人たちばかりで、欲深くて、嫉妬深くて、独りよがりで、ある意味イやな奴ばかりで、人間臭くて面白い。 ボクもこの老人たちの年齢になれば、同じように煩悩にまみれたまま旅立っていくんだろうな、としみじみ……。2023/12/03

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