内容説明
イギリスに引っ越した可愛らしい夢想家、9歳のアメリカ人少女ノリーが、小学校ではイジメ屋をやっつけ、家では長い長いお話を作る。『中二階』『もしもし』の作家が自分の娘をモデルに生き生きと描く子どもの世界。
著者等紹介
ベイカー,ニコルソン[ベイカー,ニコルソン][Baker,Nicholson]
アメリカの作家。1957年に生まれ、ニューヨーク州で育つ。1988年に『ノリーのおわらない物語』でデビュー。常人離れしたミクロの観察眼と、非常にユニークな着眼点による作風で知られる
岸本佐知子[キシモトサチコ]
1960年生。上智大学文学部英文学科卒。アメリカ文学専攻(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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めしいらず
52
その日あった出来事や頭の中の妄想物語を、主人公の少女ノリー9歳が両親に懸命に語りかけるようなお話だ。簡潔とは程遠い回りくどい語り口が、頻出する言い間違い勘違いが、すぐあちこちに脱線する思考が、いかにも子どもらしくて可愛らしい。子ども達の持つ残酷さと優しさ。傷つけたり傷ついたり。でもみんなの前で泣くのは死活問題だ。次々湧き出る疑問を自分なりに考えて猪突猛進に行動する彼女を、周りの大人たちは優しく見守っている。一人称でなく三人称で物事を考えてみる大切さ。怖い夢を見なくなり純粋さを失って久しい大人達の為の物語。2018/01/30
yumiha
37
『わからない』で紹介されていた本書の訳は、もちろん岸本佐知子で、9歳のノリーの頭の中(建設中の建物?)とかぶっているように思えた。スペルや慣用句を間違えること多々なんだけれど、大人が見過ごしていることを不思議だと気づいたり、想像力や創造力が豊かなところとか、似ているんじゃないかな。比較のために私の9歳を思い起こしてみたけど、かなり違う。もう数十年前のことだから、ほとんど記憶が蘇らないんだけど、私と似ていたのは、悪夢に対しての怖れが強いことだけ💦2024/12/08
syota
30
9歳になる作者の愛娘のおしゃべりを日々書き留めたのが本書だ。もちろんそのままではなくアレンジは加えてあるが、子供の目に映る世界がそのまま活字になっていて、なんとも新鮮。大人が考えた子供の話とは決定的に違うのが読んでいて分かる。主役のノリーは想像力豊かで活発。意見をはっきり言い、正しいと思えば周りを気にせず行動に移す。周囲の空気を読むことばかり気にする日本人としては、このアメリカ的美質が羨ましくもある。ただ、基本的に子供のおしゃべりなので、冗長で起伏に乏しいという点は大目に見る必要がある。2020/07/07
タカラ~ム
18
著者が自分の娘をモデルにして描き出した物語。主人公ノリーは想像力が豊かで、好奇心の旺盛な9歳の女の子。学校ではいろいろなことが起きるけど、ノリーはそれを悩んだり楽しんだり怒ったりしながら乗り越えていく。みんなからいじめられてるパメラと仲良くしたり、そのことで仲良しのキラからたしなめられたりしても気にしない。無邪気と言えばそれまでだけど、自分に正直な子なんだよね。自分が子どもの頃を思い出させてくれるお話です。2017/06/01
aoneko
18
9歳の女の子のフィルタを通した世界。読むことは思考回路の冒険でもあって、わたしの中にもいる、成仏出来ない子供霊も手を上げて喜ぶ。これでお、し、まい! とノリーは歌みたいにして言った、「おしおしまいまい、おしまいまい、おしおしまいまい、まいのまいのまい。で。で。で、で、で、で、で、で、で、で!」これをぜひやってみたいんだけど、使う予定と場所が見当たらない。なので、で、で、無理矢理感が否めない所で言ってみることになる。2015/01/08