出版社内容情報
華やかな過去の夢に溺れるラネーフスカヤ夫人と、その領地を買い取ることになった新興成金ロパーヒン。新旧二つの勢力を対照的に描きながら、未来に向かって歩く希望を娘に託す名作。
内容説明
華やかな過去の夢に溺れ、現実を直視できずに領地を手放すことになったラネーフスカヤ夫人と、その領地を買い取ることになった新興成金ロバーヒン。新旧二つの勢力を対照的に描きながら、未来に向かって歩きだす夫人の娘アーニャに人生の希望を託した、「ひたすらおかしい」最晩年のコメディー。マイケル・フレインの英訳をベースにした、上演用台本。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
うぃっくす
3
うん?これコメディなの?笑えるシーンなかったような気がしますけど…。登場人物みんなどこか欠陥があってなんか哀れな感じがしたけどきっとどこかにコメディ要素あったんだろうな。没落貴族に新興商人。2020/11/29
ぴかぽん
3
由緒正しい地主の土地であった美しい桜の園。しかし農奴制崩壊後、金の散財によって窮乏したにもかかわらず現状を直視できない女地主は、愛する故郷である桜の園を競売にかけられ、元農奴の息子で商人に成り上がった男に買い取られてしまう。チェーホフはこの劇をコメディとして描いたというが、実際に読んだ印象としては、女地主の哀れな身の上や、商人の側の葛藤、取り残される老僕の悲哀などを見ても、面白おかしいという印象は受けなかった。むしろ時代の変化の犠牲になった人間の悲劇のように思えてしまう。他にどんな読み方があるのだろう。2019/02/06
Natsuko Michimata
2
外国人の名前に馴染みがないためか、なかなか人物の把握できず、世界に入り込むまでの時間がかかったが、出てくる人物に血が通い出すと、一気に読み進められた。老僕も、女主人も、その娘も、新しい地主も、みんな奇妙にみえてどこか理解出来なくもない目的を持ち合わせている。読み手、演じ手によりどうとでも解釈できるのりしろが、未だにたくさんの場所にて上演される所以なのだろうか。私には再読が必要そうだ。喜劇とは、なんだろうか。2015/08/22
井坂 茜
2
「愚か」と一言で片付けてしまうのは簡単、活字だけを追っていくとそう感じるけれどこれを生身の人間が、それも人生の苦味も知っている役者がこの台詞を口に出したら、と考えながら読むとまた違う世界がひろがる。戯曲ならでは。2015/01/28
やん
1
英訳版から上演用台本として書かれた本。ロシア語を学んでいて、よくチェーホフの名前が出てくるので多分初めて作品を読んでみた。いやぁこれは。さすがと言おうか、こんなに心に残るとは思わなかった。今月地元で桜の園の舞台があったのに行かなかったことを後悔する。没落した地主や解放された農奴、新興の商人。今の世界とかけ離れているようでいて、どこか通じるところがある。今も、世の中は大きく変化しつつある。自分が親しみ馴染んだ世界はそのうちなくなるかもしれない。チェーホフの他の作品も読んでみよう。いつか原語で読めるといいな。2021/12/28
-
- 電子書籍
- スクールカウンセリングとは?