白水Uブックス<br> 聖女ジャンヌと悪魔ジル

白水Uブックス
聖女ジャンヌと悪魔ジル

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  • サイズ 新書判/ページ数 210p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784560071199
  • NDC分類 953
  • Cコード C0297

出版社内容情報

 救国の処女ジャンヌ・ダルクとの出会い以来、善良な田舎貴族ジルは彼女を愛し、共に王国のために戦う。だが、ジャンヌが魔女として処刑されるや、彼は悪魔へと変貌する。黒魔術に耽り、多くの子供を虐殺し、最後は自らも火刑の炎に焼かれる。フランス文壇の巨匠が史実を基に魂の救済を描く名作。

内容説明

救国の処女ジャンヌ・ダルクを愛した善良な田舎貴族ジルは、ともに王国のために戦う。だがジャンヌが魔女として処刑されるや、ジルは悪魔へと変貌する。黒魔術に耽り、多くの子供を虐殺し、ついには自らも火刑の炎に焼かれる。フランス文壇の巨匠が史実をもとに魂の救済を描く名作。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

かりさ

72
フランス百年戦争末期、女騎士ジャンヌ・ダルクと善良な田舎貴族ジル・ド・レの史実をもとにした作品。故国のため戦場を共にするうちにジャンヌへ情景の念を抱き、聖女と敬い崇拝するようになるジル。しかしジャンヌの運命は魔女として火刑に消えゆきます。その残酷な亡骸を目にした後のジルの哀しくもおぞましき悪魔への変貌、黒魔術と幼児虐殺という殺人鬼へと転換するさまは圧倒的で引き込まれました。聖女と同じく火刑により最期を遂げた悪魔ジルの断末魔は強烈に胸に迫ります。トゥルニエの善と悪の両義と転換を秘めた幻想さに強く惹かれます。2016/06/04

南雲吾朗

62
タイトルにはジャンヌダルクの名前はあるが、ほぼジル・ド・レの物語。ブランシュとフランシスコ・プレラッティのやり取りの中で見せる神と悪魔の捉え方が面白い。2021/10/20

HANA

48
汚穢は美に転換し、逆もまた然り。主にジル・ド・レの行状記であるが、狂宴の具体的な描写はほぼ無い。しかしそれが返って彼の内面の絶望と作品の陰鬱な空気を見事に表現している。表題こそこの二人だが彼らはあくまで舞台装置であり、脇役であるはずの神父と錬金術師こそが真の主人公であるような印象を受けた。それはこの二人が善と悪、汚穢と至善を其々象徴しているからか。ただここでは地獄の力強さに対して天国は余りにも弱々しい。そしてラストの裁判で明らかになるその逆転。そしてジャンヌとジルの対比する火計の場面はあまりにも美しい。2015/01/21

藤月はな(灯れ松明の火)

46
ジャンヌに地獄と天国の熾火を見出し、救われたジル。しかし、ジャンヌは国に売られ、教会に「悪魔」と断ぜられた上で処刑されてしまった。悪徳を重ねても、最後まで神を信仰した原動力とは何だったのか?おそらく、ジルは悪徳に身を窶して「至上」を目指すことでジャンヌを悪罵される魔女から「聖女」へと転換させることを信じていたのだと思う。綺麗は穢い、穢いは綺麗に。呪われてあれ、子を厭って売り払ったのに被害者面をする親、知らぬ振りをする生者、権威という泡に縋るしかない聖職者よ。貴公らは永遠にジルとジャンヌの至上に辿り着けぬ。2014/10/08

新地学@児童書病発動中

46
わずか200ページの程度の本だったが、密度の濃い内容で面白かった。ジャンヌダルクを聖なる女性として愛した貴族ジルが、人間性を失って、残酷な所業に耽り、処刑されるまでを描いた物語。このジルは後にペローの童話「青ひげ」のモデルになったらしい。彼は百年戦争の英雄で聖なる存在だったのに、理不尽に処刑されるジャンヌの姿を見てから、精神のバランスを失って、獣性をむき出しにした人間になってしまう。どんな人の中にも聖性と獣性はあると思う。(続く) 2012/11/20

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