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白水Uブックス
ひと月の夏

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  • サイズ 新書判/ページ数 161p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784560071038
  • NDC分類 933
  • Cコード C0297

出版社内容情報

 1920年夏、ヨークシャーの田舎の教会に、壁画復原の仕事に雇われた若者バーキンがやってきた。戦争で心に深い傷を負った彼はこの短いひと夏の間に、やはり戦争の傷を残した若い考古学者や、牧師の美貌の妻に出会う。美しい英国の自然を背景に、若者の愛と友情を描いて心にしみ入る名品。

内容説明

1920年夏のある日、英国ヨークシャの田園の小駅にひとりの若者が降り立つ。村の教会の壁画修復にやってきた彼は、第一次大戦で心に深い傷を負っていた。だが飾り気のない村の人々との交流が堅く閉ざされた彼の心を次第に開いていく。静かな村での主人公のひと夏の愛と友情をやわらかな筆致で描き、心にしみる名品。ガーディアン賞受賞作。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ヴェネツィア

286
ヨークシャーの村、オクスゴドビーにやってきたバーキンのひと夏を瑞瑞しい筆致で描く。時は第1次大戦後の1920年頃。村が持つ暖かさもいい。教会堂の壁画修復というのも戦間期のたまさかの、のどかさに相応しい。バーキンの淡やかな恋もいい。しかも、そこには諦念を追想する痛みと、いい意味での感傷がある。作家も作品も、それほど人口に膾炙するものではない。しかし、そこには確かにイギリスの小説だけが持つ、ほのかな温かみと人生への達観がある。設定やプロットは全く違うがカズオ・イシグロの『日の名残り』に通じるものを感じるのだ。2016/03/26

遥かなる想い

219
第一次大戦のフランス戦線で傷付いた青年の ひと月の夏の思い出を描いた 物語である。 1980年の出版らしいが、英国の田園の 風景がのどかに浮かぶようで、ほんのりと 心暖まる展開が味わい深い。 バーキン青年とアリスとの交流も ひどく ぎこちなく、微笑ましいお話だった。 2017/03/17

新地学@児童書病発動中

114
英国の田園にやってきた教会の壁画を修復する青年の物語。英国の小説の良い所を凝縮した内容で気に入った。劇的なプロットはないけれども、しみじみとした情感が胸の中に残る。もしかすると、イギリスの田園がこの小説の別の主人公なのかもしれない。そこでは、時間がゆっくりと過ぎていき、自然の移ろいの美しさを人間は実感できる。戦争で傷を負った主人公が立ち直ることができたのも、ゆったりとした自然のリズムに同調できたからだろう。登場人物の描き方も丁寧で、嫌われ者の牧師が苦しい自らの胸の内を漏らすところなどは、心に残った。2015/01/11

ふう

91
第一次大戦で苦しい経験をし、心と顔に傷を残した青年。青年が、塗りつぶされた宗教画を修復するために過ごした、英国の小さな村にある教会でのひと月の暮らしが、繊細な描写で淡々と描かれています。美しい田園風景、そこで暮らす素朴な人々との交流、そして牧師の妻へ寄せる密やかな思い。その幸せな時間が青年の心を少しずつ修復していき、読む者にとってもおだやかな時間でした。その幸せな時もやがて過去となり、もう戻ってはこないけど、だからこそ忘れられない、かけがえのないひと月…。2016/10/18

扉のこちら側

91
初読。2016年9冊め。【103/G1000】こういう「田舎町でのひと夏」というような本は大好きだ。それが人間が快復するような話だったりするなら尚更で、また日常に戻っていき、いつか、もう戻れない夏を思い返すという終わり方もたまらない。いつか再読しよう。2016/01/06

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