白水Uブックス<br> フロベールの鸚鵡

白水Uブックス
フロベールの鸚鵡

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  • サイズ 新書判/ページ数 294p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784560071021
  • NDC分類 933
  • Cコード C0297

出版社内容情報

 文豪フロベールの生涯をめぐる二羽の鸚鵡の謎。「僕」のフロベール探究の旅は、「僕」自身の過去に、妻の自殺に思いを馳せながら次第にその色合いを変えていく。一作ごとに新しい趣向で世界じゅうの読者を驚嘆させる英国の鬼才J・Bの出世作にして最高傑作。英・仏・伊の文学賞を独占。

内容説明

偉大なるフロベールの故郷ルーアンを訪ねた「僕」は、博物館で、彼が『純な心』を執筆する際に常に手元に置いていた鸚鵡の剥製を見つける。だがのちに訪れたフロベール邸のはなれには、もう一羽の鸚鵡が鎮座していた。いったい本物はどちら?フロベールという作家にさまざまな角度から覗き眼鏡をあて、文学的にして愉快な小説。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ヴェネツィア

283
エッセイのようでもあり、評伝のようにも見える。しかし、やはりこれは紛れもない小説だ。従来にはなかった全く新しいタイプの。一見したところ、そのようには見えないが、フローベールの小説もまた実は従来の小説からは大きく飛躍した語りの相と構造とを持っていた。バーンズのこの著作は、フローベールへの限りないオマージュであるとともに、彼が自己自身と世界に向かって宣言した、新しい方法意識による小説の構築宣言でもある。新しい、もしくは小説が本来持っているはずの本質とは何かを問う小説だろう。平易そうに見えて、実は手強い小説だ。2016/02/12

遥かなる想い

167
作家フロベールを追った作品である。 著者の フロベールへの敬愛が 文面に溢れて 清々しい。伝記のように見せかけながら フィクションを交え、話は進む。 実験文学的な章立てが やがて 違う様相を 帯びるが…虚実が入り混じり、読者を 困惑させる…そんな作品だった。2018/07/21

まふ

95
フローベール好きの作家がフローベール好きの人々に書いた「ファンクラブ会報特集編ムック本」みたいなもの。作者はこの中で様々な視点からフロ―ベールにまつわるトピックスを取り上げて自ら楽しみながら蘊蓄を披露する。全体はバラバラな順序だがこれを好意的に読み込めば立派な「小説」となるらしい。だが、私には無理であった。それは自分自身がフローベールファンではないからなのだろうが、それだけなのかは分からない。G1000ということで今回読んでみたがそれにふさわしい普遍的価値があるかどうかはギモン、としておこう。2023/08/06

扉のこちら側

95
2016年708冊め。【201/G1000】フロベールは何作か読んだだけで、作中のフロベール蘊蓄のどこまでが真実でどこからがフィクション部分か判断ができないが、相当綿密な研究の下で書かれているのはわかる。これをcomedy分野に入れてしまうのか、と思うが、じゃあ他にどのジャンルが適当かと問われると答えにつまる。小説という一言の中には、さまざまな形態があるのだなと気づかされた作品。2016/09/10

nobi

79
普通巻末にある作家の年譜が第2章にあってその多次元的作りも異色。全体に小説風?評論というより長口舌聞くような一見皮相な弁、に見えてこれが中々の代物。文体変えれば文学論文になりそうな偏執狂的に引用多い章があれば、イギリスの大衆紙的ノリ突っ込みあり、深い仲にあった女性の声がある。蒸気機関車発達なんて視点もあって、エンマ・ボヴァリーの逢引での馬車移動の時間感覚を知る。フローベールという一つの素材を元に品数多彩。唯一無いとすればその映像的表現の叙情性か。飼い主の内緒話を大声で暴く鸚鵡に擬した作りを意識したのかも。2020/02/22

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