出版社内容情報
その民族的気質と成熟した市民社会を土壌に、イギリスはユーモア文学の本流を生んだ。ディケンズ、ウォー、エイミス、トロロプほか代表的な作家12人の、ペーソスの漂う笑い、ナンセンスな笑い、黒い笑い、とぼけた笑い、ミステリアスな笑いなど、味わい深く楽しめる傑作短篇集。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
あたびー
31
          
            英国のユーモアには、どこか悲惨な影がまとわりついているものが多いのかもしれない。ブラックとまでは行かないものの、皮肉、時に自嘲的。批評家のプリーストリーが英国のユーモアを研究した本では、ウッドハウスは大好物でありながら真のユーモリストとは言えないと不思議な持ち上げ方だった。彼が絶賛するユーモリストは、もちろんディケンズ、そしてモートン(ビーチコーマー)であった。本書の中で私が心からユーモアと思ったのは、やはりディケンズ、モートン、そしてウッドハウスだった。ウォーはむしろ悲惨な話に思えた。2021/05/08
          
        AN
28
          
            【サキ誕生日読書会’20(12月10日~12月18日)】様々な作家による短編集の中からサキの『お茶』を読みました。優雅なお茶も、最後の最後で唖然とする落ちに変わる。クスリと笑わせていただきました。  2020/12/12
          
        きりぱい
12
          
            既読だったサキとトロロープが割合面白い他は、よかったのは三編ほど。ウッドハウスのジーヴスは言わずもがな。モートンの「ボールトン・ウィンフィーヴァーズの生活」は、屋敷の水族館主任管理人が、金魚マニアのご主人ショートケイク卿を振り返る話で、何となくジーヴスを思わせる雰囲気でいい。ドリス・レッシングの「歓び」は、南仏で過ごし方の食い違う夫婦がもどかしいのだけれど、ラストはほっとする。イギリスのユーモアは皮肉とはいえ、ウォーの「勝った者がみな貰う」など、本人たちが幸せならいいにしても、割り切れない不快感が残る。2012/09/11
          
        niyopiyo
7
          
            イギリスのユーモアって「時に偏見を弄んだブラックユーモア」な印象があって、もちろんそういうのも大好きなんだけど、この作品集にはくすっと笑えるようなものもあり新鮮だった!当然、風刺の対象も様々だし、読めば読むほど好みの作風がみつかりそう。 今回好みなのは…サキ「お茶」、J・B・モートン「ボールトン・ウィンフィーヴァーズの生活」、イーヴリン・ウォー「勝った者がみな貰う」、フラン・オブライエン「ジョン・ダフィーの弟」、キングズリー・エイミス「道義心」、ジョン・ウェイン「文学・哲学・討論愛好会でのスピーチ」2015/07/19
          
        ロピケ
4
          
            サキ『お茶』、イーヴリン・ウォ―『勝った者がみな貰う』、ドリス・レッシング『歓び』、キングズリー・エイミス『道義心』がちょっと寂しさの残る面白さが良かったなあと思います。最後のウェイン『文学・哲学・討論愛好会でのスピーチ』は退屈そうな題名を裏切って、しみじみとした味わいを楽しめつつ、「体裁を気にし、習慣にがんじがらめになった給金奴隷の恒常的気分」にある自分にふっと気づいてドキッとさせられ、結論もちゃっかりしていて笑えました。2010/01/23
          
        



