白水Uブックス
母なる夜

  • ただいまウェブストアではご注文を受け付けておりません。
  • サイズ 新書判/ページ数 298p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784560070567
  • NDC分類 933

出版社内容情報

 ヴォネガットは日本で一番よく読まれている現代アメリカ作家の一人である。本書はその中でも、ヴォネガットの傑作と言ってよい。第2次世界大戦でナチス・ドイツの対米宣伝放送を行ない、一方でアメリカのスパイとして情報を送る男の波乱に満ちた話は分裂症的な現代にピッタリということになる。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

jahmatsu

41
ナチと大戦のスパイの物語だったが、そこはヴォネガットらしいシニカルなユーモアが上手くブレンドされ悲壮感なり全く重苦しさを全く感じない。だけど言葉がやけに刺さる。最後のオヘアに対して語るあたりなどグッとくる。 自分的にはヴォネガットで一番好きな作品かも。2020/05/18

かんやん

34
アメリカ人でありながら、ナチス・ドイツで劇作家とした成功した主人公は、アメリカのスパイとなるが、反ユダヤのプロパガンダ放送(そこに秘密情報を暗号化している)を行ったため、戦後に窮地に陥る。かなり無理のある設定であるが、リアリズムではなく、風刺的な内容。皮肉で滑稽で、徒労感と無感動とが奇妙にブレンドされている。きっと著者の持ち味だろう。歴史や社会を突き放して見るセンス。冷めている。熱狂したり、正義を振りかざしたりしない。テーマ小説は好きではないけれど、この著者のセンスはどうしても嫌いになれない。2020/04/27

A.T

29
ナチス親衛隊広報官、ユダヤ人、アウシュヴィッツ、アメリカのスパイ、スパイの妻、ロシア人スパイ…と役者は揃った。それぞれはお決まりの役割を演じる。まさに、役割なのだ。アウシュヴィッツに収容されたユダヤ人すらも、収容所の運営に協力して処理班に志願、処理するのは自分の前に志願した処理係の死体だ、ガス室に行けと言われて行かないものもいない…と言った具合に。主人公も自分が組織の何を担っているのかわからずにスパイ活動を遂行する、と言った具合に。では、今の自分もそうでないと言えるだろうか。。。2020/04/29

ミツ

23
ナチ党員としてプロパガンダを行い、同時にアメリカのスパイでもあったある劇作家の、愚かで哀しく、切なくも美しい物語。短い断章の連なりで戦後、戦前、戦中を行きつ戻りつしながら語られるその手法は『スローターハウス5』を想起させ、大きな悲惨を目の当たりにしたことによる狂気をユーモアによって正気を保とうとしている、そのバランスの危うさに胸が詰まる。やや感傷的ながらも、ナチの大量虐殺という言語を絶する悲惨を扱いながらこうも読ませる作品にしてしまうというところが、やはりカート・ヴォネガットならではといったところか。2015/08/18

るんるん

20
キャンベルはナチ・ドイツの仮面をつけたアメリカ人スパイ。プロパガンダ作家として活躍する一方妻との「二人の国」を築くロマンチスト。悪とは何か。残酷さと希望の境界が曖昧なアイヒマンとの対比も印象的。キャンベルが語る国家と個々の狂気についてを思うとき、あの戦争に終わりなどなくただ休眠しているだけではないかと感じる。全体主義とは、故意に真理を見ないようにすることで生まれるのでは、とある。ジョーンズ氏の言い訳の描写にシニカルさ。笑うべきじゃない?かも、だが笑いがこみあげる。2017/08/25

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/403131

ご注意
リンク先のウェブサイトは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」のページで、紀伊國屋書店のウェブサイトではなく、紀伊國屋書店の管理下にはないものです。
この告知で掲載しているウェブサイトのアドレスについては、当ページ作成時点のものです。ウェブサイトのアドレスについては廃止や変更されることがあります。
最新のアドレスについては、お客様ご自身でご確認ください。
リンク先のウェブサイトについては、「株式会社ブックウォーカー」にご確認ください。