出版社内容情報
【全巻内容】1 灰色のノート/2 少年園/3 美しい季節1/4 美しい季節2/5 診察/6 ラ・ソレリーナ/7 父の死/8 一九一四年夏1/9 一九一四年夏2/10 一九一四年夏3/11 一九一四年夏4/12 エピローグ1/13 エピローグ2
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
NAO
71
1914年サラエボ事件勃発。ジャックがいるジュネーブを舞台にした活動家たちが描かれるが、彼らの言動はどことなく青臭い。一方アントワーヌは、何の危機感もなく自分の生活に満足しきっており、その姿は父親に似始めている。パリに戻ったジャックとアントワーヌの社会主義の可能性についての対話。2020/05/09
syaori
60
時は1914年。第一次大戦の足音が迫るなか、平和とプロレタリア解放の理想に燃えるジャックと、順応主義者で「生活」に邁進するアントワーヌの論争が圧巻でした。ジャックを駆り立てる革命の理想は、アントワーヌが指摘するように「人間の本性」が変わらない限り新たな弊害と新しい搾取者を生むだけのように思います。また戦争の抑止についても、ジャックが仰ぐメネストレルはこの危機を革命のための一つの機会としか考えていないようですし、理想を共にする仲間たちの間にも様々な見解の相違があるよう。彼の理想と未来に不安を感じつつ次巻へ。2021/02/12
榊原 香織
42
大長編8冊目 サラエボ事件勃発 いよいよ第1次大戦か。ジュネーブに集う若き社会主義者たちは喧々諤々。 期待の星か山師かで名が挙がってるのがムッソリーニ。 あの彼?2020/11/03
藤月はな(灯れ松明の火)
34
安保改正法が可決された中、読んだ本だからこそ、今、読んで良かったと思っています。ジャックが共産主義者の仲間になったところで第一次世界大戦へのきっかけになったサラエヴォ事件が起きるという衝撃の巻。ジャックはその事件がきっかけで人々が殺し合うことを予感して苦悩していた。だがジャックの必死の訴えも日々の生活に忙しいアントワーヌは理解しようともしない。ジャックが共産主義なのに革命反対主義である所に暴力・反戦主義が見えるところが彼の良い所です。しかし、後の世のことを考えると痛ましい気持ちになります。2015/09/23
加納恭史
21
著者は第二次大戦の危機を目前にした1934~40年のかけてこの本「チボー家の人々1914年夏8~11」を書く。第一次大戦に突入するヨーロッパの複雑怪奇な政治情勢、戦争回避のための第二インターナショナルのあえなき崩壊。楽観的な日常で何もなし得ない国民大多数の盲目性。第二次大戦に突入するのか?そのための第一次大戦前夜の政治・イデオロギーの分析と考察。著者のそのような着眼点や語り口の物語は、目の覚めるような素晴らしさを持つ。最初の1~4巻あたりとは違って、資本主義批判、社会主義推進のあり方の難問を考察して行く。2023/02/12
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