出版社内容情報
【全巻内容】1 灰色のノート/2 少年園/3 美しい季節1/4 美しい季節2/5 診察/6 ラ・ソレリーナ/7 父の死/8 一九一四年夏1/9 一九一四年夏2/10 一九一四年夏3/11 一九一四年夏4/12 エピローグ1/13 エピローグ2
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
NAO
73
死に臨んでの、チボー家の三者三様の心の有り様が描かれている。さらに、父親の死後のアントワーヌとヴェカール神父との対話も重く印象的。少年の頃にはその潔癖さがまぶしくすら思えたジャックの身勝手さも、いつまでもそのままでは、少し鼻についてくる。ジャックもいつかは大人になるのだろうか。2020/05/08
syaori
59
息子達が「青春の力をあげてぶつかりつづけ」た父、オスカール・チボーの死が語られます。その長い臨終の苦しみとそれを看取る人々の疲労の描写は凄絶のひと言。そして遺品から浮かび上がる息子達の知らないチボー氏の姿と、家長の交代による新しい視野。人の一生の虚しさ奥深さを感じるとともに、一つの時代の終わりを感じる巻でした。また遺骸を前にした、兄弟それぞれの≪死≫についての観照も印象に残ります。アントワーヌはそれを「虚無」と言い、ジャックは「安息」と言う。この相違は今後の二人の人生にどう反響してゆくのでしょう。次巻へ。2021/02/10
フリウリ
36
父オスカル・チボーの死。ジャック出奔に際してはホイットマンを、父の死に際してはニーチェが引用されてもいる。がんの猛烈な痛みに苦しむ父を見て、兄弟同意のうえアントワーヌはモルヒネを打ち、死に至らしめる。その行為の正否を考え続けるアントワーヌ。死を敗北としてしか認めえない医学への批判とも読めます。一方、列車の中での司祭との会話は、絶対を奉じる信仰への批判。ダニエルの妹ジェンニーの病を、アントワーヌは諦めたけれど、牧師が回復させたというエピソード(何巻だったか)を思い出しました。72026/03/03
榊原 香織
35
7巻目 『イギリスでは(中略)生活は、ぜったい悲しいものであってはならないと思ってるの。(中略)何から何までが遊びなの』(P125) フランス人から見たイギリス人てこんななん??2020/10/26
藤月はな(灯れ松明の火)
30
病床のチボー氏は、今までの神への信仰はなんだったのかと問いかけたくなるほど、自分を病の苦痛から救ってくれない神への罵倒が溢れ出ている。彼が信仰していたのは「神」ではなく、「神を信仰する敬虔な理想の自分とそれを人徳者として評価してくれる世の中」だったのかもしれない。一方、最期まで自分を認めてくれなかった父にも関わらず、苦痛に満ちた父の姿に耐えられず、アントワーヌに「安楽死させてやれ」と頼むジャックとそう、提案されるまで生かそうとしたアントワーヌの姿は介護でぶつかるどちらの選択も非難できない悲惨さに満ちていた2015/09/23




